カンポをめぐる狂想曲BACK NUMBER
From:ミラノ(イタリア)「嘆かわしいルックスの面々」
text by
杉山茂樹Shigeki Sugiyama
photograph byShigeki Sugiyama
posted2004/10/28 00:00
ミランとバルサの試合で、僕のお気に入り君を鑑賞。
負けたバルサは、有る意味、本当に困ったチームだ。
というのも、心配したくなるルックス揃いだから。
ミラン対バルサ。僕のお気に入り君は「サンシーロ」のピッチにスタメンで登場した。前半の決定的チャンスに、シュートをポストに当ててしまった男。すなわちヘンリク・ラーションだ(9月13日号参照)
。普段はセンターフォワードのポジションをエトーと交替で務めるが、右ウイング、ジュリーが欠場し、エトーがそちらに回ったため、晴れてセンターフォワードとして頭から起用された。
身長178センチ。年齢は33歳。にもかかわらず……と、きたところで連想するのは、バレンシアに所属する177センチ、31歳だ。ポジションはセンターバック。といえば、もうお分かりいただけるだろう。アジャラだ。この選手の凄いのは、なによりジャンプ力。ヘディングの打点は恐ろしく高い。スタンディング・ジャンプで相手の肩ぐらいまで平気で腰を浮かせることが出来る。超人的というより鳥人的だ。かつて、マドリーやインテルに所属したサモラーノ(チリ代表)も、174センチの身体で、高々と舞い上がるようなジャンプを見せたが、現役では、アジャラが一番ではないか。そのジャンプのシルエットはとても美しい。僕はこの選手こそ世界のベストディフェンダーだと思うし、バロンドーロを取らせてやりたい一番の選手となるが、残念ながら彼は、いま戦線離脱の身の上にある。アテネ五輪で頑張りすぎてしまったツケを味わっている最中だ。バレンシアがいまいち冴えない原因でもある。
同日、バレンシアはインテルに木っ端微塵に粉砕された。インテルが得点を重ねる途中経過がサンシーロの電光板に掲示されるたびに、ミラン・サポーターは面白くなさそうな顔を浮かべた。
それはさておき、バルセロナというチームは本当に困ったチームだ。人を期待させておいて0-1で負けてしまったからではない。たぶん次節のリターンマッチはバルサが勝つだろうし、ミランよりマックス値そのものは高い気がするが、ここで僕が嘆きたくなるのは面々のルックスだ。ラーションは良い。同じく元フェイエノールトのファンブロンクホルストも、クレバーなプレー通り端整な顔立ちをしている。GKのバルテスもオッケー(ただ、この選手は、練習場に大量の香水を振りかけて現れるのだそうだ)。右サイドバックのベレッチ、オレゲールもまぁ許せる。だがその他の主役級は、頂けない。ぴんで雑誌の表紙に耐えられそうな選手はない。
ロナウジーニョ。もしサッカー選手じゃなかったら、何をしていたんだろうと心配になる顔だ。エトーもやばい。ジュリーもよく見れば、可愛らしい(?)顔をしているが、ルックスは典型的なオッサンだ。チャビはせんだみつおだし、デコは僕の知り合いのカメラマンによく似た地味&田舎顔だして、プジョルに至っては、長髪を切り、坊主にしたら偉いことになりそうな目鼻立ちだ。このチームの切り札は監督。ライカールトはイカしている(実際の監督は、人相の悪いテンカーテという噂もあるけれど)。
ジダン、フィーゴ、ロナウド、オバサン風情のラウールと、ライバルのマドリーも強者揃いながら、こちらにはベッカムという切り札がいる。モリエンテス、グティ、オーウェンもいれば、動物的な動きとルックスで人気を集めるロベルト・カルロスもいる。組み合わせによっては、体裁を取り繕うことが出来る。バルサとは違う。
日本市場に与える影響はいかに。女性ファンはバルサに寄りつきにくい気がする。
ついでに言えば、バルサ戦で決勝点を叩き出した、シェフチェンコのロン毛もどうかと思う。短髪の方が、僕は数段シルエット的にイカしていると思うのだけれど。
僕にとってはバルサもミラノもマドリーも、所詮は他人事なので、こんなどうでもいい話が出来るわけだが、日本代表の場合には暢気はいってられない。非ルックス重視で真面目に観戦に勤しみたい!
とはいえ、一言いえば、日本代表にスタイリッシュな選手がそう見えたらないことは確かだ。宮本?? アジャラ級のジャンプ力があれば文句なしなのだけれど……。