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都市対抗を盛り上げた、TDKの技術力。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byJun Tsukida / AFLO SPORT

posted2006/09/14 00:00

都市対抗を盛り上げた、TDKの技術力。<Number Web> photograph by Jun Tsukida / AFLO SPORT

 9月5日に幕を閉じた第77回都市対抗の優勝チームは、秋田県にかほ市代表TDKだった。それまでの76 回のうち32回は東京・神奈川の首都圏が優勝を飾っている。とくに神奈川勢は'98〜'00年にかけて3連覇、'02〜'03年にかけて2連覇と圧倒的な強さを発揮している。TDKの決勝の相手はその神奈川県横須賀市代表、日産自動車。昨年の準優勝チームにして、春のスポニチ大会の優勝チームという最強豪チーム。正直、大量得点差をつけられなければいいな、と思っていた。

 ところがTDKは強かった。3回裏に1点先制されると4回表に2点を奪い逆転し、6回裏に同点にされれば7回表に突き放すという具合に、常に主導権を握って戦った。こういう戦いを、8回出場してすべて緒戦で敗退しているチームがするとは思わなかった。まして東北勢が決勝に進出したのは、'59年(昭和 34年)の富士鉄釜石ただ1チーム。北海道勢が優勝1回、準優勝5回していることを思えば、寒さは言い訳にはならない。ただ、野球技術の未発達さが東北のチームを下位に埋没させていたのである。

 しかし、TDKは技術力が高かった。それを強く感じさせたのが、橋戸賞を獲得した野田正義のピッチング。ストレートの速さはせいぜい130キロ台前半。これを速く見せようと100キロ台のカーブを随所に織り交ぜながら、けっして的を絞らせない。しかもコントロールが緻密で、内・外・高・低の四隅をすべて使い切っていた。速くはないストレートに差し込まれる打者が多かったのは、それだけ技巧のレベルが高かったからである。

 打者走者の一塁(二塁、三塁)到達スピードで見ると、準決勝の日本通運戦が4人、全力疾走と認められる4.29秒未満(二塁打は8.29秒未満)を記録している。早速、名前を紹介する([ ]内数字は打席数)。

 ◇阿部博明・二塁手([1]送りバント4.06秒、[3]二塁安打3.96秒、[4]一塁安打3.84秒)、◇松本力・三塁手([2]バント安打 4.01秒)、◇高木修二・中堅手([1]投手ゴロ4.07秒)、熊谷豪・中堅手([2]バント3.77秒)──。ちなみに、日本通運各打者は0人だった。

 決勝の日産自動車戦では小町啓志・遊撃手([4]二塁打8.26秒)、岡崎哲也・指名代打([2]右前打4.27秒)が阿部、熊谷とともに名前を連ねて4人。対する日産自動車も小山豪・一塁手([2]二塁打8.00秒)、伊藤祐樹・三塁手([1]二塁打8.07秒、[3]バント3.99秒)、南貴之・捕手(バントエラー4.29秒)、青柳大輔・二塁手([3]中前打4.25秒)と4人を数えた。まさに気力対気力の勝負になり、TDKが初優勝への意欲の差で上回ったということだろうか。スコアもTDK4−3日産自動車という際どいものになった。なお、試合後、記者席の報道陣に大入り袋が配られた。中身は多分、100円玉が入っているのだろうが、記念にずっと手元に置いておくつもりである。

 この大会のベストナインを、ドラフト的な要素も加味して選んでみると、次のような選手たちの名前が出てきた(投手は5人選出)。

捕手 南 貴之(日産自動車)

一塁手 須藤琢也(JR北海道)

二塁手 佐々木勉(三菱ふそう川崎)

三塁手 宮川智光(ホンダ鈴鹿)

遊撃手 津留侑士(JFE東日本)

外野手 中尾敏浩(JR東日本)

外野手 下窪陽介(日本通運)

外野手 森川欽太(日本新薬)

DH 吉浦貴志(日産自動車)

投手 木村雄太(明治安田生命補強=東京ガス)、高崎健太郎(日産自動車)、宮崎充登(ホンダ鈴鹿)、服部泰卓(トヨタ自動車)、小松聖(JR九州)

 東京ドームに通われたファンの皆さんは、どんなベストナインになったのだろうか。

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