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降格寸前だったヘタフェが見事復活!
救世主・ミチェル新監督の手腕。 

text by

中嶋亨

中嶋亨Toru Nakajima

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photograph byAFLO

posted2009/10/13 11:30

降格寸前だったヘタフェが見事復活!救世主・ミチェル新監督の手腕。<Number Web> photograph by AFLO

今季6試合が終わった時点で3勝3敗、順位を8位としているヘタフェ。ミチェル監督は今季の降格争いから逃れられるか?

過去の苦い経験を糧に名監督への道を歩む。

 最も苦しい時期にチームに招かれ、1部残留へと導いたミチェルは選手とファンの信頼を勝ち取った。だが、そんなミチェルもラージョ・バジェカーノ、レアル・マドリーBで指揮を取った際には共に良い成績を残すことはできず、「名選手、名監督にあらず」が当てはまる監督となってしまうかに見られていた。とりわけ元スペイン代表デラレッド、現スペイン代表マタ(バレンシア)、グラネロ(レアル・マドリー)、ネグレド(セビージャ)といった有能な選手を揃えていたレアルBを指揮した時には2部リーグから2部Bリーグへとチームを降格させてしまっている。

 だが、それらの経験があってこそ、ミチェルは監督として成長することができたと感じている。

「ヘタフェではこれまで私が選手として、監督として学んできた経験全てを生かして仕事をしている。もちろん、人間としての経験もそうだ。人生もサッカーも常に全てが上手くいくわけじゃない。だが、それでも最善の準備をいつも整えることはできるはずだし、どうしたらその準備を整えることができるのかを考えるのが監督や選手の仕事だ。

 カスティージャ(レアルB)が降格したのは、私の責任だった。あの時の私はベストを尽くしたはずだが、今の私は何が足りなかったのかわかっている。冷静に謙虚になって失敗を振り返ることは難しいことだが、より良い仕事をするためにはそうするべきだ。カスティージャではもっと選手とコミュニケーションを取るべきだったし、戦術的にも細部を改善する必要があった。

 今の仕事場では大きなやる気を感じている。リーガは厳しい戦場だが、だからこそ、全てをかけて戦う価値がある。今の私は選手時代の3倍はサッカーについて頭を巡らせているよ(笑)」

練習メニューは戦術理解を深めるものがメイン。

 こう語るミチェルが作る練習メニューは戦術的なものが多い。ボールを保持しながら攻撃を仕掛けるスタイルを目指すミチェルは、様々なルールを設けたミニゲームを行う。

 例えば、ツータッチ以内でパスを繋ぐことが決められたミニゲームにも、サイドに使えそうなスペースがある際にはドリブルしても良いというルールがあるのは選手達に好評だ。中盤の要で主将でもあるカスケロは「このメニューは選手達にスペースを見極める頭の使い方をさせる。ボールの展開を読む力と、素早い頭の切り替えが必要で、試合でとても役立つメニューだ」と語る。

【次ページ】 目標は「一部残留」と控えめながら、欧州の舞台も視野に。

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