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冬のGK争奪大セール。 

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酒巻陽子

酒巻陽子Yoko Sakamaki

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posted2008/01/15 00:00

冬のGK争奪大セール。<Number Web> photograph by AFLO

 セリエAはいま、冬の移籍期間中。各クラブ幹部たちの心境は、「新春大セール」の買い物客と似ている。買いたいのはやまやまだが出費は避けたい。成績不振でも選手1人の補強に留める下位クラブの姿勢は、一般市民がフトコロ勘定しながらコートかダウンジャケットかどちらか1つを買い求めるのとあまり変わらない。

 移籍解禁といえども、シーズン中に優秀な選手を獲得するのは至難の業である。貴重な戦力であればとうていクラブは手放さない。となると、タンスのこやしと化している控え選手や、フロントとの関係がギクシャクしている問題児に狙いを定め、「掘り出しもの」を手にするほうが無難。過去にも新加入の「スーパーサブ」が活躍したおかげで、降格を免れたクラブも決して少なくなかった。

 ここまでセリエA20チーム全体の総失点率が昨シーズンに比べると2割増しとあって、今回の移籍市場では解禁初日からGKに注目が集まっている。多くのコマを買い揃えて新チームを作る資金も時間もないクラブが、とりあえず守護神を代えることで失点を抑えようとしているのだ。

 最下位のカリアリが、一番乗りでストラーリ(スペイン・レバンテ)の獲得を公表した。ミラン、スペインではサブだったが、長年所属したメッシーナでは、ゴール前でのシュートを何度も阻止した固い守りで勇名を轟かしたGKだけに、品質は十分。「セール中」にローコストで掘り出しものを獲得したカリアリは、まさに買い物上手といえる。

 高齢GKを抱えるラツィオとパルマは、元ユベントスで現在はサンプドリアでプレーする若手、ミランテの争奪戦を繰り広げている。ラツィオは今年4月に44歳を迎えるバロッタの判断力の低下にしびれをきらし、ミランテをはじめ、リバープレートのカリーソにも触手を伸ばしている。パルマも39歳のベテラン、ブッチに代わる若手として、22歳のクルチ(ローマ)、ビビアーノ(ブレシア)に加え、ユベントスのセカンドGKベラルディに目をつけるなど、サブGK獲得にも余念がない。

 順位こそ6位と安泰なパレルモだが、得点(25)を上回る失点(27)を気にした幹部が、突如GK獲りに踏み切り、イタリア代表でリボルノのアメリア獲得に名乗りをあげた。アメリアにはバルセロナも興味を持っており、移籍金も650万ユーロは下らないと報じられている(リボルノの会長は900万ユーロを提示しているようだが)。セカンドGKの獲得にも大金を費やすバルセロナの資金力には脱帽するとして、パレルモの場合、代表とはいえおとなしいプレーが目立つアメリアで課題をクリアできるのだろうか……という疑問も残る。失点19と安定感のあるカターニャのポリートを迎えたほうが「吉」と出るような気がしないでもない。

 熱いGK獲得合戦が繰り広げられる冬季移籍市場。どのクラブが安い値段で「カシミア100%のコート」を手に入れるのか。まだまだ目が離せない。

#マルコ・アメーリア
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