MLB Column from USABACK NUMBER

カブス積極補強と
福留「降格」の気がかり。 

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李啓充

李啓充Kaechoong Lee

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2008/12/08 00:00

カブス積極補強と福留「降格」の気がかり。<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 大型不況の影響がMLBにも及んでいることは前回記した通りだが、各球団とも経済の先行きに対する不安は強く、補強の動きは著しく鈍くなっている。実際、今オフ、FA申請した選手171人のうち、これまでメジャー契約を結ぶことができたのはわずかに7人(12月3日現在)、FA市場は「凍りついている」と言ってもいいほどの冷え込みぶりを示している。

 こういった状況の下、元気に補強に励んでいる数少ないチームの一つがカブスである。100年ぶりのワールドシリーズ優勝をめざした今季、リーグベストの成績でレギュラーシーズンを終えたもののプレーオフでは昨年に続いて地区決定シリーズ3連敗で敗退、宿願を達成することはできなかった。昨オフも日本から福留孝介を契約期間4年・年俸総額4800万ドルで獲得するなど積極補強に励んだが、今オフは、101年目の悲願成就に向けて、昨年に輪をかけた積極さでストーブリーグに臨んでいる。

 まず、投手陣の補強だが、11月13日に、マーリンズのクローザー、ケビン・グレッグ(今季29セーブ、防御率3.41)をトレードで獲得、チームの看板選手とはいえ、故障が多く信頼感に欠けるケリー・ウッド(34セーブ、防御率3.26)との「縁切り」を断行した。さらに同月18日には、FA申請していたライアン・デンプスター(17勝6敗、防御率2.96)と期間4年・総額5200万ドルで契約、防御率3.75と今季リーグ一の成績を残した先発投手陣の陣容維持に成功した(今オフ、総額1000万ドルを超える大型契約は、これまでデンプスターの契約1件のみである)。さらに、現在、ジェイク・ピービーの獲得をめざしてパドレスと移籍交渉中、もともと強力だった先発陣のさらなる強化をめざす積極補強を展開している。

付図 2008年 福留の月別OPS

 次に攻撃陣だが、補強の最大目標はチーム積年の課題、左の強打者(外野手)獲得である。実は、カブスにとって、昨オフの福留獲得で左の強打者補強問題は「解決」したはずだった。しかし、付図にも示したように、今季の福留(OPS:出塁率と長打率の和、7割3分8厘)は、デビューこそはなばなしかったものの、後半戦は、目を覆いたくなるようなスランプに陥った。特に、8・9月はOPS5割台と、「メジャー失格」の烙印を押されても仕方がないほどの大不振で、ルー・ピネラ監督の信頼も失ってしまったと言われている。

 しかも、今オフのFA市場は、アダム・ダン(今季OPS8割9分8厘、以下同)、ボビー・アブレイユー(8割4分3厘)、ラウル・イバネス(8割3分7 厘)、ケン・グリフィー・Jr(7割7分8厘)と、左打ちの外野手が「商品」としてだぶつくほど供給されている。福留にとって、強力ライバルがチームメートとなった場合、控えに降格されてしまう運命が待っているのは間違いないだけに、来季の名誉挽回は容易ではない。

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