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ツアー離脱、スポンサー離れ、離婚。
タイガー・ウッズはいつ復帰するのか。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2009/12/21 10:30
アメリカスポーツ史上、最悪のスキャンダルとなった。
今回のタイガーのスキャンダルは、アメリカスポーツ史上、最悪のものという見方もある。
記憶にある範囲では、マイケル・ジョーダンのギャンブル癖が報道された時もかなり問題にはなったが、これはジョーダン本人の内面的な問題だった。
最近だとロサンゼルス・レイカーズの大スター、コービー・ブライアントが婦女暴行容疑で起訴されたが、原告側が訴えを取り下げ、後に示談が成立した。それでもコービーはマクドナルドとジャムメーカーの2社からスポンサーの打ち切りを通告されている。
コービーの事件はシーズン中も法廷に出廷しなければならず、ダメージも大きかったが、女性側が法廷での証言を取り下げたことから、女性側にも問題があったのでは? という見方が広がり、ダメージは徐々に回復していったという経緯がある。
タイガーの問題の広がりは、コービーの時とは比較にならない。
タイガーには「幸せな家庭」というイメージがあり、それに対しても企業は投資をしていた面があった。
今後アクセンチュアだけでなく、数社がスポンサーを降りることも想定されるが、実のところ、私はほとんどの企業がタイガーに対する支援を続けるだろうと予想する。
なぜか?
「汚れたタイガー」が戻ってきた時の価値は、計り知れないからだ!
「汚れたタイガー」にかけるスポンサーの思惑とは?
汚れたタイガー。
これこそが、これからのキーワードだ。
正直に言えば、みんな汚れたタイガーの復帰戦が今から楽しみで仕方がないのである。
どんな顔をして、1番のティーグラウンドに立つのか?
ひょっとして、タイガーなら復帰戦で勝ってしまうんじゃないか?
そんなことまで考えたりするはずだ。きっと復帰戦の視聴率はかなり跳ね上がると予想される。
逆さメガネ的な視点で考えると、タイガーをバックアップする企業は、そこまで考慮しているはずなのだ。
タイガーが復帰すれば、おそらく勝利を積み重ねるだろう。離婚問題から立ち直り、汚れたタイガーが再び「聖人」となる……。
そうすれば苦しい時期を支えた企業として胸を張ることが出来るし、しかもタイガーとの契約で有利な立場に立てるではないか!
タイガーはゴルファーであると同時に、タイガー・ウッズ・ブランドの総帥でもあるから、企業側との交渉も含め、現在はダメージ・コントロールを行っている最中のはずだ。
まずは離婚問題に決着をつけ、「どのタイミングで復帰すれば、もっとも効果的か?」ということを探っていくに違いない。