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4回転なき金メダルは妥当か?
論争を呼ぶプルシェンコの“異議”。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2010/02/20 21:00

4回転なき金メダルは妥当か? 論争を呼ぶプルシェンコの“異議”。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

プルシェンコの不満は当然だが、ライサチェクの金は妥当だ。

 だから、敗れたプルシェンコが不満を持つのは、ある意味当然ではあるし、ルールもまた不変ではないのだから、問題提議としての意義はある。

写真表彰台最上段から2段目に飛び降り、採点への不満をアピールしたプルシェンコ(左)。日本人初のメダリストとなった3位の高橋大輔は苦笑い

 ただ、思うのは、ジャンプだけがフィギュアスケートではないし、表現のみがフィギュアスケートでもない。いや、ジャンプも含めての表現である。

 ライサチェクに4回転ジャンプはなかったが、質の高いジャンプを次々に決め、磨き上げた表現力でミスなく滑り切った演技は素晴らしかった。

 プルシェンコは4回転ジャンプに成功はしたが、全体を見ると、決して出来のよい演技でもなかった。

 現行ルールのもとでは、やはり、今大会の金メダルはライサチェクがふさわしかったと思う。

注目のキム・ヨナvs浅田真央──リスクをとるか、ヘッジするか?

 こうして男子は終わり、23日から女子が始まる。

 完成度の高さを誇るキム・ヨナか、トリプルアクセルをプログラムに組み入れる浅田真央か。リスクへの取り組みの異なる2人が、どのような結果で大会を終えることになるのか。男子で沸き起こった議論を経た後では、なおさら興味深い。

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