日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
岡田ジャパンの切り札を探せ!
森本、石川、佐藤寿の招集意図は?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byUniphoto Press
posted2009/10/05 14:50
今季、順調に得点を重ねる森本。A代表に呼ばれるのが遅すぎたくらいだ
10月のホーム3連戦(8日アジアカップ最終予選香港戦、10日スコットランド戦、14日トーゴ戦)に臨む岡田ジャパンのメンバーが1日に発表された。予定どおりなら、6日から試合に向けた合宿がスタートしているはずである。今回、招集されたメンバーは28人。香港戦後に中1日でスコットランド戦を迎えるために、通常よりも4、5人多く招集されている。
注目すべきは、先のオランダ遠征でケガのために招集できなかった森本貴幸に加え、サイドアタッカーとして開眼した石川直宏が5年8カ月ぶりに呼ばれ、昨年末の代表候補合宿で呼ばれて以降外れていた「ワンタッチゴーラー」の佐藤寿人まで招集された点。チームの攻撃にバリエーションを与えることのできるオリジナリティーを持ち、決定力を兼ね備えた選手が選ばれたことに、岡田武史監督の狙いが見える。
岡田監督が動いた。状況を打開できるスーパーサブを招集!
これまで岡田監督は「全員攻撃、全員守備」のコンセプトのもと、チーム戦術に適応できそうなタイプを優先的に選んできた。しかし、この3人はどちらかといえば、自分の個性をより強く打ち出すことで力を発揮するタイプ。所属チームで結果を残してきたことで、ようやくチャンスをつかみ取った。指揮官は今回の選考について、会見でこう述べている。
「ここまではチーム全体の強化に重点を置いてきたが、これからは状況に応じた選手の発掘、たとえば、残り10分で点を獲りたいとき、または勝っているときに(守り切る)、あるいは(相手が)下がってゴール前を固められたときにサイドを破る選手というように、特徴のある選手を探していかなければならない」
岡田発言の「残り10分で点を獲りたいとき」は佐藤を指しているだろうし、「ゴールを固められたときにサイドを破る」というのは、石川に向けられたものだと解釈できる。指揮官は今のメンバーを軸として、コンセプトどおりの戦いを進めていきながら、行き詰ったときに状況を打開してくれるスーパーサブの発掘に本腰を入れ始めたのだ。
「状況に応じた選手」の代表格としての森本貴幸。
カターニャでは今季、先発で3得点を挙げている森本に対しても、指揮官はスーパーサブとして期待しているように見受けられる。今後、森本を招集できる機会はそう多くはないため、コンセプトを森本にしっかり浸透させ、先発で起用するには時間が十分とは言えない。「状況に応じた選手」の代表格がおそらくこの森本だろう。この3連戦では先発でテストされる可能性はあるものの、本大会を想定するなら、攻撃に重点を置く勝負どころでの起用が基本線のはずだ。