カンポをめぐる狂想曲BACK NUMBER
From:バルセロナ(スペイン)「スタイリッシュな選手は誰?」
text by
杉山茂樹Shigeki Sugiyama
photograph byShigeki Sugiyama
posted2004/09/13 00:00
まだまだ暑いバルセロナ。女の子たちの
トンチンカンなミニスカ姿を見て考えた。
ユニフォームが一番似合う選手は誰だろう。
夏の後半から秋口にまたがる欧州ツアーといえば、サマーセーターは欠かせない。欧州は日本ほど湿気がないし、日が暮れれば途端に涼しくなる。だから、トランクの中に無理矢理3着も詰め込んできたのだけれど、今のところ、活躍の機会はほとんどない。誤算である。バルセロナはまだ暑い。湿度が高い土地柄でもある。街を歩く人々は、いまだ真夏着だ。で、スペインの女性は日本人に比べて露出度が高い。で、で、胸がデカい。ヘソ出しは相変わらず流行しているし、さらに今年は、どういうわけかミニスカートが流行っている。
ここまで書けば、スギヤマの野郎は良い所にいるなーとオヤジ臭いヤツは羨むに違いない。でも、それが案外そうでもないのだ。お眼鏡に適う肢体(ちょっとHな日本語)にはなかなか出会えない。大抵がトンチンカンなのだ。スペインの女性はよく食べる。デブは目立つ。ウエストなんかブヨブヨなのに、平気でヘソを出す。ピアスまでくっつけていたりする。そのうえ、大根足なのにミニスカートじゃあ、たまったものではない。でも、聞けば、こっちでは、痩せている女性はウケないらしい。セクシーではないらしい。すなわち洋服の似合う女性があまりいない。
サッカー選手はどうだろうか。こちらの勝負服はユニフォームだ。ユニフォームの着こなしと、スタイルとプレーのレベルのバランスが、高次元で融合しているスタイリッシュな選手は誰なのか。これが案外いない。僕はそう思う。イタリア人のレベルは全体的に高いが、これだという選手は思い浮かばない。デルピエーロは、背中が丸くなってしまったし……。イチ押しはスウェーデン人のFWとなる。もちろんズラタン・イブラヒモビッチではない。あれはデカ過ぎる。身長178センチ、体重75キロ。今季バルセロナにやってきたスキンヘッド。といえば、もうお分かりだろう。ヘンリク・ラーションだ。足は速いし、点は取るし、勘は良いし、サッカーセンスというより、スポーツセンスが良い。今年9月で33歳になる年齢が信じられないほど、溌剌としているアスリート系だ。その割に地味な所がなおよろしい。ヘルシンボリ〜フェイエノールト〜グラスゴー・セルティック。これまで辿った道のりはいわば裏街道だ。クラブ・シーンの戦いでは、決してメジャーにはなり得なかった好選手。バルセロナでの活躍を願わずにはいられない。
ラーションと何となく共通するのが、女子バレーの高橋みゆきという選手だ。僕はスポーツライターを名乗るくせに、バレーボールにはとんと無知で(バレーボールの現場に漂うムードがどうにも性に合わないので、知らず知らずのうちに目を背けていたわけで……)、だから、トンチンカンを承知で言わせてもらえば、少なくともこの選手はアテネ五輪では頑張っていたと思う。中国戦なんか、彼女がいなければ、大敗を喫していたんじゃないかといえるほど、獅子奮迅の活躍をみせた。背はそう高くないし、アタック抜群というわけではないのだけれど、コートから離れたスタンドで遠目に眺めても、ラーション同様の溌剌さが伝わってきた。人気の長身選手より、アスリートとしての魅力に溢れていた。
てなことを、頭の片隅に入れながらバルセロナを訪れれば、偶然にもほどがある記事を「マルカ紙」の中で発見した。昨季の欧州チャンピオンに輝いたテネリフェのクラブが、高橋みゆき選手の獲得に動いているという内容の記事だ。ビックリせずにはいられない。なんでも、昨季まで在籍したイタリア人の何とかという選手と、ロシア人の何とかという2人の美人選手が抜けてしまった穴を埋めるべく候補としてリストアップされているのだそうだ。高橋みゆき選手というのはそんなに美人なのか。アテネの現場で、遠目にしか見たことがない僕にはよく分からない。スタイルは悪くなさそうだったけれど、でも、五輪前、日本でそう騒がれていた印象はないし、ということは、実際のプレーで注目されたのか。ならば、僕にバレーボールを見る目があることが証明されたことになる。
移籍が実現したら、バルセロナから飛行機で4時間は掛かるカナリア諸島まで、はるばる出かけて確かめてみる価値は大いにある??