Jリーグ観察記BACK NUMBER
戦い方が見つからない浦和レッズ。
今こそ問われる本物のフロント力。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byMasahiro Ura
posted2011/06/05 08:00
浦和の前はイングランドのウェストハムでアシスタントコーチだったペトロビッチ監督。5月29日、浦和の橋本光夫代表、柱谷ゼネラルマネジャーの3者で会談し、現体制で引き続きやっていくことを確認した
危機感を募らせた選手達が、監督に提案した策とは?
危機感を覚えた選手たちは、5月3日の横浜Fマリノス戦前、監督に対してもっとパスをつないだ方がいいのではないかと提案した。
ペトロビッチ監督はもともとそういうサッカーを目指していたこともあり、選手たちの提案を快諾した。しかし、それができないからロングボールの指示を出したのであって、根本的な解決になるはずがなかった。
結果、マリノス戦はロングボールは減ったものの、効果的な攻撃は出来ず、0対2で負けてしまった。
5月21日の鹿島戦の後半、ついにペトロビッチはこだわってきた4-3-3を捨て、4-4-2に変更した。0対2から同点に追いつき、このシステム変更が覚醒のきっかけになるかと思われた。
だが、続く新潟戦では後半に同点に追いつかれ、2トップだからといってすべてがうまくいくわけではないことがわかった。
選手のコマ不足に監督の指導経験の浅さも。フロントはどう動く?
監督からしたら、もうどんな手を打てばいいかわからなくなっているのではないだろうか。
パスをつなげばミスが出て、ロングボールを蹴り込もうとしたら単調になり、2トップにしても勝てなかったのだから……。
正直なところ、これ以上、ペトロビッチ監督の修正能力に期待するのは酷だ。まだ監督として1年以上同じチームを率いた経験がなく、熟練したマネージメントの手腕を持っているわけではない。年俸が安いから招聘されたという一面も少なからずあり、クラブはこういう指導経験の不足を最初からわかっていたはずだ。
今、問われているのは浦和のフロント力ではないだろうか。