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鉄平は“控え目なイチロー”!?
楽天のCS進出を支える安打製造機。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNaoya Sanuki
posted2009/09/09 12:20
鉄平はイチローのいる聖域に近づきつつあるのでは?
ただ、鉄平は確実に安打製造機への道を歩んでいる。
この試合の翌日、滅多に更新されない彼のオフィシャルホームページ内にあるブログを覗いてみると、なんと連続試合安打がストップしたことについて克明に記されているではないか! 現場や新聞、その他の報道での控えめな鉄平しか知らなかっただけに、ちょっと感動した。
なかにはこう書かれていた。
<最終打席では武田久さんに二ゴロに抑えられましたが、この二ゴロは自分の中では非常に大きかったです>
その打席は見ていた。だが、外角のシュートを引っ掛けた、というくらいしか憶えていない。イチローはあえて打球を詰まらせたり空振りをすることがあるという。観ている側には到底理解できない、打撃を究めたプロフェッショナルにしか辿り着けない「聖域」に、鉄平は踏み込もうとしている。
冒頭で述べた9月5日の二塁打が象徴的なのかもしれない。大の苦手である武田勝から放ったあの打球が。
「九州のイチロー」と呼ばれながら、当時の高校野球雑誌で大きく取り上げられていたのは同県の大分工・内川聖一(現横浜)だった。しかもその雑誌のメンバー表には、土谷“鉄兵”と間違えて表記されていた。
その男が、自らの領域を作り出し、本当のイチローに近づきつつある。
かなり控えめなイチローだが……。