MLB Column from USABACK NUMBER
WBC、日本を崖っ縁に追い込んだ
「目立ちたがり」審判。
text by
李啓充Kaechoong Lee
photograph byNaoya Sanuki
posted2006/03/28 00:00
しかし、「目立ちたがりに大役を与えるとろくなことがない」のは野球に限らないし、ただでさえ目立ってはいけないはずの審判の「長」に、とびきりの「目立ちたがり」を持ってきたのだから、これは問題が起こらないはずがなかった。しかも、デイビッドソンが関わった誤審はすべて米国を有利にするものだっただけに、米国の予選敗退が決まったときに、「野球の神様が不正義を正してくれた」と、胸がすく思いをしたのは私だけではなかっただろう。
99年の解雇後、デイビッドソンは、糊口を凌ぐためにマイナーで審判を続けた。メジャー時代の高給とは比べものにならない薄給を耐えた時代、デイビッドソンは「マイナーで審判をしていていいことは、メジャーと違って、自分の間違いをテレビで見ずにすむこと」と言ったことがあるが、今回のWBCの期間中、ずっとテレビをつけずに暮らしたのだろうか?