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横浜・筒香はニュータイプ?
理論を超えた本塁打王を目指す! 

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/01/19 10:30

横浜・筒香はニュータイプ?理論を超えた本塁打王を目指す!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

右投左打で高校野球界屈指のスラッガー筒香嘉智。

 筒香は高校通算69本塁打を放った高校球界屈指のスラッガーである。彼は一般的には右投左打だが、少しタイプの違う右投左打のホームランバッターでもある。

 184cm、88kgという恵まれた体格を持つ筒香は、実は、右でも打てるスイッチヒッターなのだ。

 横浜高時代、左サイドの変則投手が登板した場合に限って右打席で打っていたという筒香は69本塁打のうち、2本は右で打ったものである。ただ、特別視したいのは、その意識がただ単に左変則派投手対策だけでやっていたわけではないという点だ。中学生時代のことを筒香はこう語っていた。

「中学の時に教えていただいていたトレーナーの方に、バランスを良くするために、右でも打つようにと言われてトレーニングのつもりでやってきました。それをずっと続けてきましたし、試合の打席でも右打席で立てるくらいにやってきました。そのおかげでバランスが良くなっていると思います」

非凡な打撃センスと頭脳を持つ未来のホームランキング。

 もともと非凡な打撃センスを持つ筒香にバランスの良さが加われば、これまでの右投左打のホームランバッターではなし得なかったものが生まれてくるはずだ。そういう期待が持てる。

 また、筒香の野球選手としての特異性はその点だけにとどまらない。技術的な考え方も含めて、すべての物事を自分で考えられるだけの頭脳と芯の強さが垣間見えるのだ。中学時代のトレーナーの言葉を忘れずに、名門・横浜でも続けたということも、その一端だろう。

 個人的には右投右打の中田翔(日ハム)や左投左打のT-岡田(オリックス)と比較してその成長を追いかけたいと思っているが、そうしたちょっと意地悪な意見にも、まったく動じずにこう語ってくれた。

「(中田やT-岡田を)特に意識はしないです。特長やフォームはそれぞれにあるものですし、みんなが同じということはないですから。1年目から一軍への期待もされていますが、自分ではすぐに一軍に上がりたいという気持ちはそんなに大きくないです。長く野球をやるための準備が必要で、僕には、それがまだ足りない。目先にとらわれず、じっくり体を作っていきたいんです。プロでもホームランで勝負できるバッターになりたいんです」

 希少な右投左打のホームランバッター。

 筒香には日本でのホームラン王と、ゆくゆくは、世界の舞台、メジャーでのホームランキングの夢を託したい。

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