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桜庭和志 「Number Webも10年。うちの長男も10歳(笑)」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2009/08/28 19:20
「Numberは専門誌とは違うので話しやすかった」
過去10年間のNumber格闘技特集号を開いてみると、必ず桜庭のページがあることが分かる。インタビューに試合ルポ、企画物……。すなわち、この10年というもの桜庭を無視して格闘技は語れず、といった状態が続いていたというわけだ。
グレイシーハンターとして名をあげ、PRIDEの象徴として君臨し、衝撃のHERO’S移籍を経て、秋山成勲戦では前代未聞の出来事に巻き込まれた。総合格闘技界が生んだ稀代の大スターは、この自分の身に振りかかった時代の波を、どのように受け止め感じていたのだろうか。
――節目節目で本誌に登場していただきましたが、Numberは桜庭選手にとってどのような媒体でしょうか? 専門誌ではない一般スポーツ誌という形態ですが。
「たしかに専門誌ではないので、分かりやすく伝えたいなって気持ちはありました。たとえば、僕がHERO'Sへ移籍したときのことを専門誌できちんと話しても『ただの裏切り者じゃん』で終わっちゃうことが少なからずあったんです。けど、お茶の間でTVを見ている人にはちゃんと理解してもらいたい。そういう意味でNumberは話しやすかった面はあります。深くは言えないけれど、いきなり辞めたのではなく、きちんとした話し合いが数回あって辞めたんだって伝えることができましたからね」
――なるほど。
「あっ。けど、Numberには、ずいぶん前に、事実でないことを書かれて怒った覚えがありますね」
――ええっ、それは大変失礼しました……。
「僕が言ったことに関しては自分でチェックするし、それ以外の部分についてはライターの方がどう書こうが自由なのですが、事実関係とは違うことを書かれるのは心外です。きちんと真実を書いてもらいたいですね」
苦難を乗り越えた今、DREAMで戦える幸せを噛みしめて。
「でも不思議なもので色々ありましたけど、今となってはDREAMにおいて、PRIDEを運営してたメンバーと一緒にやれているのは良かったなって思っているんですよ。ファイターたちにしても個性豊かな面々がそろっているし、試合内容にしても競技化し戦い方が決まっている大会なんかより断然面白いと思いますよ」
――桜庭選手は何といってもPRIDE初期にあった、あの“果たし合い”の雰囲気が好きなんですもんね。
「そのとおり。にしても初めてNumberに出て10年ですか……。昔の写真を見ると若いですよね。そっか、考えてみればうちの長男も10歳なんですよね」
――さて、このたび、このNumber Webがリニューアルされ今後もより一層アスリートの方々を追っていきたいと考えているのですが、なにかしら期待することがあったらぜひ聞かせてください。
「僕としては専門誌で話せないことを言えたらいいなって思っています。あとはとにかく真実を書いてください(笑)」
――は、はい。了解しました。
「とはいっても、真実でも書かないでほしいことは書かないでくださいね。いろいろと面倒くさいんで(笑)」