Jリーグ観察記BACK NUMBER
ライバルチームのゴールに一喜一憂!?
Jのスタジアムにも欲しい速報掲示板。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2011/05/22 08:01
試合中、出場選手と得点を映し出す電光掲示板。他会場の経過は基本的にハーフタイムにのみ伝えられる
今年の夏場、Jリーグは暑さを考慮して、すべての試合が18時以降にキックオフされる。
たとえば7月30、31日に行なわれるJ1第19節では、18時キックオフが1試合で、他の8試合はすべて19時キックオフとなっている。つまり、ほぼすべてが同時刻に開催されるというのだ。
ぜひこの機会を利用して、実験的に導入してみてほしいのが、他会場でゴールが決まるたびに、そのスコアの速報をスタジアムで流すというサービスだ。
このサービスを実にうまく活用しているのが、ヨーロッパで最も平均観客動員数が多いブンデスリーガだ。たとえば今季の最終節は、15位ヴォルフスブルク、16位ボルシアMG、17位フランクフルトの3チームが残留をかけて、それぞれ異なるスタジアムで試合をしていた。
観客としては、目の前のピッチだけでなく、他会場の結果もとても気になっている。だから、チャイムとともに他会場のスコアが大画面に映ると、大きなどよめきが湧き起こるのだ。
スタジアムの観客全員で速報に一喜一憂する“劇場効果”。
今回のブンデスリーガ最終節、ホッフェンハイム対ヴォルフスブルクの会場では、前半終了間際、ボルシアMGがハンブルガーSV相手に先制したことが速報で流れたとき、ホッフェンハイムのゴール裏からは「ざまあみろ」といわんばかりの喝采が起こり、逆にヴォルフスブルクのサポーターが集まるアウェー席からは「あぁ~」という大きなため息がもれた。
もちろん携帯電話などを使って、それぞれ個人が他会場の動きをチェックすることもできるが、数万人が一斉にどよめくというのは、また種類が異なる興奮と快感がある。
最終節は極端だとしても、普段の試合でもバイエルンがリードされるとホームとアウェーのサポーター関係なしに湧き上がるし、地元のライバルチームがゴールを決められたら、これもまた痛快な雰囲気がスタジアムを包み込む。
こういうTVでは絶対に味わえない“劇場効果”を、Jリーグも生かさない手はない。