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長島茂雄大いに語る。 <再録連載最終回>
text by
瀧 安治Yasuji Taki
photograph byKiyoshi Nishikawa
posted2009/05/26 11:01
[ 第3回はこちら ]
(記事内の表記は当時に従い、長嶋ではなく長島のまま掲載しています)
再録連載 最終回(1/2)
巨人軍伝統のガッツプレーを見てもらいたい。
――もう間もなく効果があらわれますかね。
長島 いや、しかしね、やってたとしても、表に出ない凡ミスが出たりして大変ですよ、野球っていうのは。そういうものなのよ。やっぱり選手の能力だから。むずかしいねえ。
ファンの方々というのはね、やっばり勝ってほしいという期待が先に立つから、われわれのやってる途中経過はクソ食らえで、即、効果を期待する。それが当然ですよ。
――ファンは勝ち負けしか見えないからですね。
長島 チームの内側は見えないから当然なの。何もファンの人にまで裏の台所を見てくださいなんてバカはいわない。でもね、われわれが築いて守ってきた巨人軍の伝統があるでしょう。
たとえば、その中のはっきりしたものは常に勝つということだったけれど、その基本にあるもの、それはガッツプレーとか色々ある。そういうものをまず見てもらいたい。そういう意味ではコーチの成果が出てくると思うんですよ。
――捕れそうもない打球もダイビングしていくという感じね。
長島 センター前、三遊間、二遊間、とにかく捕っていく。砂塵の中に闘志で打球をストップするんだというプレー。これはうまい下手に関係ない。
後半戦はこういうプレーを徹底していく。甲子園の高校野球のように遮二無二打球を追う。大きな声を出していく。そういう中に、やっぱり伝統の巨人軍らしさというものが……。そういう出来る範囲のものは今でも実行にうつす約束出来ますよ。
――そうすると、技術的にはミニ・キャンプでハードに鍛えて、精神力もガッツをつけてきている。後半戦はあとどういうぺースでいくのが目標ですか。
長島 オールスター戦後を60試合として、40勝20敗。要するに2勝1敗のぺースだな。後半戦は、また日程が詰まってきますよね。調子にうまく乗りさえすれば、かなりの連勝が出ると思うんですよ。後半はうまく調子の波に乗って、ぐんぐん進みたいね。十何連勝が一回出れば面白くできるんだよな。
ぼくの長所は攻繋型で陽性なところ。弱点はディフェンス。
――監督は攻撃型の性格でしょう。監督のタイプとしては元ヤンキースのビリー・マーチンに似てるんじゃないですか。
長島 ぼくの性格の長所は攻繋型で陽性なところ。弱点はディフェンス。それはよくわかっているんだ。そういう意味でも、チーム全体を好調なムードにしていかないといけないと思ってるんだ。
――負けゲームなどで、ストレスも溜るでしょうけど、すぐ気分転換していくのは監督の得意なとこですよね。ストレス解消法は何ですか。
長島 解消法ね。現役時代に比べれば信じられないくらい酒を飲みますよ。ほとんど夜は酒ですよ。それでパッと寝ちゃいますよね。
それで翌日に球場に行きましてね、ノックしたりジョギングしたりして汗を出しながらストレス解消していきますよ。それにしても、年々、気分の転換の仕方が下手になってくるような感じだなあ。