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コービーの言葉が招いた、レイカーズの精神的成長。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
posted2008/05/29 00:00
「私はコービー・ブライアント、チームのキャプテンの1人です。優勝するためにプレーしています」
コービー・ブライアントはそれだけ言うと、着席した。
去年10月、ハワイで行われたロサンゼルス・レイカーズのトレーニングキャンプ初日、チーム・ミーティングでのこと。夏の間に崩壊しかけたチームをまとめる第一歩として、ヘッドコーチのフィル・ジャクソンは選手全員に自己紹介をさせたのだった。
1年前の春、このままでは何年たっても優勝できるチームにならないと思ったブライアントは、チームにトレード要求をつきつけた。チームも一時はトレードの道を探っていたが、条件が合うトレード先が見つからないままキャンプインしていた。そんな状況下だっただけに、ブライアントの言葉は短いながらもいくつものメッセージを含んでいた。それをチャレンジだと受け止めるか、トレード要求の続きだと思うか、それは受け止める側次第でもあった。そして、レイカーズのチームメイトたちは前者の受け止め方をした。半数近くが20代前半と若いが、負けん気だけはブライアントに劣らないものを持っていたのだ。