青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
欧米に次々現れる同世代の天才たち。
石川遼はライバルに追いつけるか?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byGetty Images
posted2011/04/30 08:00
2009年の全英オープンでは首位と4打差の13位タイでローアマチュアを獲得しているマッテオ・マナセロ。2010年のマスターズには16歳11カ月で最年少出場記録を刻み、さらに予選も突破。同年5月には欧州ツアー最年少優勝記録も。写真は、マキロイを破って優勝したメイバンク・マレーシア・オープンのもの
欧州ツアー最年少優勝記録と世界ランク33位を誇る17歳。
大会前週の世界ランクは55位。
米ツアーの試合に参加して必死に順位を上げようとしたが、50位以内の条件を満たせず、あと一歩のところで出場権を逃したのだった。
無念の思いをかみしめて臨んだ、マスターズ後では最初となるこの試合。あの憧れのメジャーで首位争いを演じたマキロイを破って通算2勝目を挙げたのだ。
自らが昨年つくった欧州ツアー最年少優勝記録に次ぐ年少優勝は、直後の世界ランクを33位まで押し上げた。
「マスターズには出場できなかったけど、これで他の3つのメジャーに出られる。世界ランクの50位以内に入って残りのメジャーに出ることを目標にしているから、それが何よりもうれしい」
彼らは若い選手は、大舞台を経るごとに確実に、そして即座に、ひとまわり大きくなる。そこには互いの活躍をエネルギーに変える力も働いているようだ。
フルスロットルで突っ走る同世代の躍進に石川遼はついて行けるか?
初出場のマスターズで2位となって鮮烈な印象を残した23歳のジェイソン・デイは、若い世代の相乗効果を口にする。
「ちょっとした心理的な変化だと思うんだ。学生の時に一緒にプレーしていた、しかも自分が勝ったことのあるような選手が、ツアーで優勝したり、優勝争いに加わっていたりする。だったら自分もできないはずがないと思うよね。そういうことだと思うよ」
マスターズを戦い終えた後、石川遼は「遼くんを含めて若い世代の台頭が目立った大会だったと思うけど」と尋ねられて首をふった。
「僕はまだ(そのグループに)入りきってないかもしれないですね。蚊帳の外とは言わないけど、彼らとは違う1つ下の次元でプレーをしていた。彼らも若いですけど、年齢がジェイソンより4つ下だし、リッキー(・ファウラー)よりは3つ下。あと1、2年待ってもらって、その間に一緒に戦えるような努力をしたい」
ただし、2歳年下のマナセロはもう横に並びかけてきた。
時代の変化は一時たりとも「待って」はくれない。ともすれば、石川ですら置き去りにされる勢いだ。
マスターズ翌週の日本ツアー開幕戦では最終日最終組で優勝を争い、石川もオーガスタでの経験を糧に前進する姿は示した。あとはその速度次第。
マキロイらの姿に「自分にもできる」と信じられたなら、心のブレーキはすでに取り払われている。あとは彼らよりも深く成長のアクセルを踏み込めるかどうかである。