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ノリックらしい決断でWSBへの転身を決意。
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2005/02/03 00:00
ノリックこと阿部典史のキャリアは、レース界の常識を次々に打ち破るものだった。ワークスライダーになり、いろいろな経験を積み、ある程度年齢を重ねて初めて、周囲が最高峰クラスのマシンに跨ることを認める。そんな時代に17歳で彗星の如く全日本最高峰クラスにデビューし、史上最年少18歳でチャンピオン獲得。翌年にはWGPデビューを遂げ、フル参戦2年目の日本GPでは、F・スペンサーの記録にわずか1カ月及ばずも、史上2番目20歳7カ月で最高峰クラスの優勝を飾った。
そのノリックが、ついにMotoGP制覇の夢を果たせないまま、スーパーバイク世界選手権(WSB)へ戦いの場を移すことになった。昨年はMotoGPクラスで13位と低迷。世界の頂点だけを追い求めてきたノリックにとって、一時は引退も考える苦しい終盤戦となった。ホンダからヤマハに移籍したばかりのV・ロッシが、同じマシンであっさりとチャンピオンになっているだけに、今季の構想から外れるという厳しい評価も当然のことだった。しかし、「自分で考えていたより、まだ自分を必要としてくれる場所があった」と、現役続行とWSBへの参戦を決めた。