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師走に生まれた、2つの名勝負。 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2007/12/28 00:00

 ボクシングでは、注目された好カードが実際期待通りの好試合になることは滅多にない。しかし、12月初めに内外で行われた2つのウェルター級タイトルマッチは違った。日本王者湯場忠志が15連続KOをマークしていた牛若丸あきべぇを倒し合いの末に逆転KOした第1ラウンドと、ラスベガスで“プリティボーイ”フロイド・メイウェザーが絵に描いたような左フックのカウンターでリッキー・ハットンを倒した第10ラウンド、日本と世界の違いはあれど、いずれも「年間最高ラウンド」に推したいほど劇的で見事なKOシーンだった。

 日本ウェルター級タイトルマッチは、初回僅か90秒でケリがついたが、これほど濃密な90秒も珍しい。開始ゴング後10秒とたたずにダウンしたのは湯場だった。サウスポー同士が同時に放った右フックは、挑戦者のブローが一瞬先に湯場のアゴに届いていた。3階級で日本王者になるなど、年季の入った王者に対し、躊躇せずパンチを放ち倒してしまうのだから、あきべぇもただ者ではない。

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