SCORE CARDBACK NUMBER
師走に生まれた、2つの名勝負。
text by
![前田衷](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
前田衷Makoto Maeda
posted2007/12/28 00:00
ボクシングでは、注目された好カードが実際期待通りの好試合になることは滅多にない。しかし、12月初めに内外で行われた2つのウェルター級タイトルマッチは違った。日本王者湯場忠志が15連続KOをマークしていた牛若丸あきべぇを倒し合いの末に逆転KOした第1ラウンドと、ラスベガスで“プリティボーイ”フロイド・メイウェザーが絵に描いたような左フックのカウンターでリッキー・ハットンを倒した第10ラウンド、日本と世界の違いはあれど、いずれも「年間最高ラウンド」に推したいほど劇的で見事なKOシーンだった。
日本ウェルター級タイトルマッチは、初回僅か90秒でケリがついたが、これほど濃密な90秒も珍しい。開始ゴング後10秒とたたずにダウンしたのは湯場だった。サウスポー同士が同時に放った右フックは、挑戦者のブローが一瞬先に湯場のアゴに届いていた。3階級で日本王者になるなど、年季の入った王者に対し、躊躇せずパンチを放ち倒してしまうのだから、あきべぇもただ者ではない。
![](https://number.ismcdn.jp/common/images/common/blank.gif)