SCORE CARDBACK NUMBER

公道を走れない、年間3勝の新鋭選手。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

PROFILE

posted2004/12/28 00:00

 楽しみな才能が現れた。その名を塚越広大と言う。彼は11月、18歳になったばかりなのに、西日本F4選手権シリーズでチャンピオンになり、途中参戦したフォーミュラドリーム(FD)シリーズでは最終戦までの4戦でなんと3勝を記録したのである。

 従来、日本国内で日本自動車連盟(JAF)の競技ライセンスを取得するには普通自動車免許証が必要だった。つまりいくらレーシングカートで優秀な成績を収めても18歳になるまで本格的四輪レースには出場できなかったのだ。世界的に選手の若年化が進む中、日本人選手がF3をはじめとする海外競技で活躍できない理由のひとつが、この年齢制限にあるという見方は昔からあった。15歳から出場できるレーシングカートで才能を発揮しても、免許取得年齢になるまで足踏みをしなければならなかった。

 JAFはようやく2001年度、18歳未満16歳以上の若い競技者に対する「限定競技ライセンス」交付を決め、普通運転免許証を持たない四輪レーサーが生まれることになった。高校生の塚越も、レーシングカートでの戦績を認められてこの限定ライセンスを取得、F4に乗って四輪レースにデビューするや破竹の進撃を始めたのである。

 JAFは当初、限定ライセンスで出場できる種目をF4、FJ1600、フォーミュラトヨタ等一定排気量以下の競技車によるものに制限していたが、'04年制限を緩和、より排気量の大きいFDや全日本F3選手権にも限定ライセンスで出走できるようになった。塚越はこれを受けてFDにも途中参戦した。

 FDはホンダの若手ドライバー育成プログラムの中核をなす種目で、これまで多くの有力選手を世に送り出してきた。塚越は鈴鹿サーキットのレーシングスクールであるSRS―Fの成績優秀者としてFD途中参戦の権利を得、FD初の限定ライセンス所持者としてレースを戦い始めた。そしてデビュー2戦目に優勝すると3連勝した。ランキングこそ5位に終わったが、年3勝は他のレギュラー選手を含め最多記録である。若くしかも勢いのある塚越は一気に注目の新鋭選手となった。

 若くして花開いた塚越の才能の行く末を思うと、気が早いことに春が待ち遠しくてならないのである。

モータースポーツの前後のコラム

ページトップ