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近くて遠い500HR。マグリフの苦悩は続く。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2004/08/12 00:00

近くて遠い500HR。マグリフの苦悩は続く。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 「達成することの意味? それはまだ、ここにしまっておくよ」と、フレッド・マグリフは、左手の人差し指で自分の胸を軽く叩いた。通算500号ホーマーまであと7本。創設以来約1万6000人の選手がプレーしてきたメジャーリーグ。その中でわずか20人しか達成していない大記録。デビルレイズの広報はその日のために手回しよく、1号からの対戦投手などのデータを記した15ページの資料集を配布していた。だが、マグリフ本人の表情は冴えなかった。

 前半戦最後の遠征先ニューヨークは、同時に最後のデビルレイズのユニフォーム姿にもなってしまった。後半戦が始まって直後の戦力外通告。あのときのマグリフには暗い予感があったのかもしれない。台頭するヤングパワーと、40歳という年齢からくる衰え。すでに球団初の最下位脱出を確実なものにし、さらにその勢いで勝率5割達成を狙うチームにとって優先されるべきは、引退の花道を飾る栄光よりも、未来に輝く栄光なのだ。

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