京都ハンナリーズに関わる人々は、チーム始動から約1カ月が経ってもなお、不思議な思いに駆られることがあるという。
『なぜ彼がここにいるんだろう』
地元・沖縄の琉球ゴールデンキングスでプロキャリアをスタートし、以来14シーズンにわたってクラブの象徴であり続けた岸本隆一は今季、初めての移籍に踏み切った。誰もが「なぜ」と思わずにはいられなかった。
8月に行われた新体制記者会見で、岸本は移籍の理由を「一言で語れるようなものではない」と説明した。ただこれはおそらく、詳細を語りたくないからというより、他の登壇者もいる場で自分が長く時間をとるのは申し訳ないという配慮によるものだろう。岸本はそういう生真面目で奥ゆかしい男だ。
理由の一つは「知的好奇心が湧いた」
チーム練習を終え、こざっぱりとした身なりで取材場所に現れた岸本は、時間をかけてていねいに思いを話してくれた。
「理由は一つではないです。ずっとこのまま沖縄でプレーしていてもいいと思っていたんですけど、これからの選手としてのキャリアというよりも、もっと長いスパンで自分の人生を考えたときに、今まであんまり表に出さなかった知的好奇心が湧いたということもあります。“むーさん”がHCを務めていたことも大きかったですし、ハンナリーズのプレースタイルにも魅力を感じましたし……まとまらないですね、こういう話をすると」
圧倒的なスピード。巧みなペイントアタック。的確なアシスト。勝負強い3Pシュート。Bリーグを代表する好ガードはこれまでにも何度か移籍のオファーを受けたが、そのたびに「自分にとって一番いい選択は何か」と考え、残留を選んできた。しかし、2022-23シーズンにBリーグ初優勝、2024-25シーズンに天皇杯初優勝を達成し、キャリアの終わりを少しずつ意識する年齢に差し掛かったことで、心境に変化が生まれた。
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