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《2022年の仙台育英》「人生は敗者復活戦だ」ナインを劇的に変えた須江航監督の‟密なる対話”「お前が変わればチームも変わるから」【優勝選手たちの回想②】
人生に滋味を与えてくれるのは勝利よりも敗北なのかもしれない。きっとそうなのだと、その背中で示してきた人は今年の夏も甲子園にいた。仙台育英は3回戦で延長戦の末に負けた。一塁ベンチ前では、須江航監督がグラウンドを引き揚げる勝者の沖縄尚学ナインに拍手を送りつづけていた。
夏の甲子園で初優勝したのは3年前。「青春って密」の名文句を須江が口にした大会である。下関国際との決勝。3点リードの7回裏に満塁ホームランを打った岩崎生弥には、いまも息づく須江の言葉がある。
「須江先生は『人生は敗者復活戦だ』とずっとミーティングで言っていました。チームが負けても次は勝てるように練習しようという意味ですが、僕は個人的に言われているのだととらえていました。試合に出ていない“敗者”という立場でしたから」
岩崎は2022年の夏を制した仙台育英の強さを象徴するひとりである。7月の宮城大会では20人のメンバーから漏れていた。失意のなか、須江に「いまは21番目の選手。ここで諦める選手は多いけど諦めないでくれ」と言われた。
仙台育英では宮城大会中もメンバー外の選手による紅白戦を重ね、甲子園を見据えた競争がつづく。7月末。メンバー登録直前の紅白戦で本塁打を放って、起死回生で背番号14を掴み取ったのが岩崎だった。

「あなたは野球のIQがすごく高いから」
岩崎にはこれまでも試練が重なっていた。
2年生だった'21年6月、胸の苦しさを訴え、運動誘発ぜんそくを発症。逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニアも患い、自宅療養を強いられた。寝たきりは1カ月に及び、バットを振ると吐き気がした。不安を募らせていると須江から電話がかかってきた。
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