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「目標があれば(できる)。恥ずかしいと思ったことはない」“ゼロ”から叩き上げた安青錦の日本語“驚速習得”の秘密「早く覚えた方が早く強くなる」
「コウジョウって何ですか」
青い目をしたお相撲さんは首をかしげて聞き返してきた。
福岡県久留米市にある安治川部屋の宿舎、一年納めの九州場所に向け、関脇の安青錦は稽古を重ねている時期だった。このまま順調に成績を残していけば、自ずと次の番付が見えてくる。そこで「口上で使う四字熟語で思い浮かぶものってありますか?」と聞いてみたのだ。
横綱や大関が昇進伝達式で話している短いスピーチのようなものですと説明すると、何のことか理解できたようだった。
「いや、まだ特に考えたことはないです」
史上最速を更新し続ける驚異的な出世スピードに負けず劣らず、日本語の習熟速度も相当なもの。インタビューも誰かが間に入るでもなく、イントネーションにもそこまで不自然さが感じられない。10月に外国特派員協会で行われた1時間という長丁場の会見も日本語でなんなく乗り切った。
「逆に日本語でよかったです。今はウクライナの人に会ってもかなりしゃべりにくい。日本語でしゃべる方が楽です」
そんな姿を見ているとつい勘違いしそうになるが、戦禍のウクライナから来日してまだ3年半、初土俵を踏んでから2年。普通はそんなに早く「口上」のことを考える必要のある力士などいないのだから、その意味を知らなくても当然だろう。
「一番は聞くことです。最初は聞いてわかるようになる」
戦後初の外国出身力士となった高見山から始まり、これまで約200人の外国人力士が大相撲の世界に挑んできた。ちょんまげを結った彼らは特に通訳もつけずに自然と日本語を操り、見る側の我々もそれをもはや当たり前だと思っている。
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