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【動画】「自分のプレーを見返して浸っていました(笑)」PG米須玲音が明かす高校時代の「パス猛特訓」、そして目標とする“三遠PG”の存在《川崎ブレイブサンダース特集③》
背中の後ろや股の間を通す、ノールックで出す、といった派手なパスではありません。しかし、受け手の手元にドンピシャでボールが収まるそのパスは、まるで魔法のように美しい。今回我々は、米須選手のパスにテーマを絞り、インタビューを敢行しました。
バスケットボールを始めたころから「得点をとること」に大きな喜びを感じていた米須選手に転機が訪れたのは京都・東山高校時代。同校の大澤徹也コーチは、長崎県中学選抜のエースとして得点を量産していた米須選手の、まわりの選手たちを上手に使おうとする意識と、パスのセンスを評価して彼にオファーを出したと証言しています。米須選手もこのように話します。
「小学校の頃からちょこちょこと『すごいところにパスを出すね』みたいなことを言われることがありました。パスの出しどころが他の人と違っていたところを大澤先生は評価してくれたのかなと思っています」
高校入学後、米須選手は大澤コーチと田中幸信総監督(故人)の指導のもと、パスの基礎を徹底的に叩き込まれます。何より口酸っぱく言われたのは、シンプルかつ正確なパスを出すこと。全体練習後の自主練習は、他のチームメートがシューティングを行う中、田中総監督の指示で「バックボードの上から3つ目の釘を目がけてチェストパスを出す」という練習に延々と取り組んでいたと教えてくれました。

大きな武器とBリーグでの課題
そうして磨かれたパスの中で、特に大きな武器となったのがオーバーヘッドパス。当初は留学生にパスを通すことを目的とした、文字通り頭の上からボールを出すだけのパスでしたが、経験とトレーニングを積むにつれて、さまざまなバリエーションが生まれました。
「横からとか、動きながらとか、逆サイドのコーナーとか。相手にとってはどこに出してくるかがわかりにくかったと思います」
現在は、ボールの回転数や距離、スピード、受け手のシュートモーションのクセからディフェンスの能力までありとあらゆるところにこだわり、受け手の欲しい場所に、欲しいタイミングで手元にフィットするようなパスを出すことを心がけているという米須選手。そのパスセンスとテクニックは昨年度参加した日本代表の育成キャンプてでもトム・ホーバスHCから高い評価を受けました。
しかし、昨年冬に進んだBリーグの舞台は、米須選手に新たな課題を与えました。デビュー早々から2桁アシストを複数回実現するなどパス自体はプロでも十二分に通用したものの、パスファーストなプレースタイルを対戦相手に読まれ、それを封じられるようになったのです。
「後半になるにつれてパスを読まれているなと感じていました。その原因はやっぱり得点力。『どうせシュートに行かないだろう』と思われていたと思います」
この課題を打開するため、米須選手は今オフは得点力アップに重点を置いたトレーニングを実施。今シーズンはアシストだけでなく得点でも2桁を挙げることを目指すことで、自身の最大の強みであるパスの価値をさらに高めることを狙っています。

約30分の動画では次のようなトピックについてもお話しいただきました。
- はじめての長期オフ
- ウインターカップで披露したミラクルパスの誕生秘話
- パスのお手本となった選手
- ネノ・ギンズブルグHCからの要望
- すごいなと思うポイントガード
9月19日、プレシーズンゲームで負傷した米須選手はインジュアリーリストに登録されました。オフのトレーニング成果を披露するのは開幕から少し先となりそうですが、米須選手は取材時にこう言っていました。
「シーズンは長いので」
そう、Bリーグの1シーズンは長いのです。ケガをしっかり直し、フルパワーの状態でコートに戻ってくることが川崎ブレイブサンダース、そして米須選手にとって最良のターニングポイントとなるはずです。(8月18日取材)
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