「まったく動いていないんですよ。朝はゆっくり起きて、ボーっとしながらテレビを観たり、夜は友達と食事に出掛けたり」
北島康介のサプライズ登場でも話題となった入江陵介の引退会見。"やりきった"という達成感、そして爽やかな笑顔を見せながらも、時折、感情を抑えきれずに涙に詰まらせる姿がとても印象的だったが、あれから少し時間が経った。本人は「今は心と体の充電期間ですね」と笑顔を見せる。
「毎日"暇だな~"と思いながら過ごしていますが(笑)、暇を持て余すこともこれまでの人生ではなかったので」
2006年、高校2年生で日本代表デビューして以来、18年間、日本競泳界のトップを走り続けてきた入江。ペットボトルをおでこに乗せた状態で泳ぐことも可能なほど無駄のないフォームは、「世界一美しい」と評された。2008年北京から計4度のオリンピックを経験し、2012年ロンドン大会では100m、200m背泳ぎ、メドレーリレーで計3つのメダルを獲得した日本競泳界の牽引者だ。
今年3月の代表選考会。で日本競泳界初の五輪5大会連続出場に挑戦したものの、男子100m背泳ぎ、男子200m背泳ぎでいずれも派遣標準記録を突破することができず、パリ五輪出場の夢は叶わなかった。だが現役生活に「悔いはない」という。
「本音を言えば、やはりパリを最後に引退したかったのですが、ここまで大好きな水泳を続けることができて本当に良かったです」
今回の動画を回しながらのインタビューで最も予想外だったのが「言葉」を巡る発言だ。これまで数々の取材を受け、レース後の囲み取材や会見でも自ら多くの言葉を発してきた入江は、「発言が切り取られる時代」にメッセージを発することの難しさ、不自由さも感じてきたという。それはなぜか。そしてアスリートの活躍を伝える立場になる可能性もある今後、「言葉」をどう向き合っていくのか。アスリートの貴重な意見が聞けた。
インタビューではほかにも
●競泳人生のマイベストレース
●なぜメドレーリレーは特別な存在だったのか
●届かなかった金メダルへの想い
●リーダーとしての責任、後輩たちに向けたエール
●北島康介、松田丈志…入江が考えるリーダー像とは?
●コーチには興味がない理由
など、多岐に渡る内容を語ってもらった。
現役時代は五輪選考会を始め、幾度もプレッシャーと向き合ってきた入江。これだけ長く第一線で活躍し続けられたのは、その根底に水泳が好きだというシンプルな思いがあったからこそ。戦う場所は変わるものの、これからも目標やゴールに向かっていくひたむきな姿を見せてくれるに違いない。
日本競泳界をリードしてきたエースの言葉、どうぞお楽しみください。
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