それは本当に美しい軌道だった。右打者に対する外角低めへの直球が、キャッチャーミットに見事におさまる。変化球を要求した捕手に首を振り、強い意志を込めて投げた一球。ロイヤルズの藪田安彦は、この球をずっと追い求めて闘ってきたのかもしれない。
メジャー久々のマウンドは8月29日のマリナーズ戦7回。11カ月ぶりの登板は三者凡退と完璧だった。「今年はマイナースタートだったけど、下でやってきたことを上でもできたんじゃないかなと」。メジャー挑戦2年目、オプションこそあるが契約は最終年だ。2年間の約半分をマイナーで過ごしつつ、先行き見えない中で模索し続けたのは低めへの制球力。この日の試合前、そう明かしてくれていた。
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