日本記録が世界記録を上回る――そんな異常事態になりかねない混乱に競泳が陥っている。5月10日、「第1回日本・オーストラリア対抗」の背泳ぎ200mで、入江陵介が世界記録を1秒08上回る1分52秒86を出した。だが、国際水泳連盟(FINA)が「水着に問題がある」と公認を見送る一方で、日本水泳連盟は「基準に合致している」と、日本記録として公認したのである。
公式大会の記録=公式記録、であったのに、審査を待たなければいけない状況自体が異例だ。原因は水着審査の遅れにある。例年は新開発の水着は年に数回審査され、事実上シーズン開幕前に承認が済んでいた。ところが今季は、各地で大会が進行していた5月中旬にようやく世界中の各メーカーから申請の出ていた348タイプの審査結果を発表。136タイプを再提出扱いとし、10タイプを却下したが、入江の着用したデサント製品もルールに抵触する恐れがあると再提出リストに含まれたのである。FINAは審査の詳細を明かしていない。そもそも、今季変更されたルールでは具体的にどういう科学的数値が求められるかなどの説明がメーカー側になかったという。
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