どの世界にも「大化け」する人はいるものである。それまであまり目立たなかった人が密かに着実に力をつけて、ある時期、突然頭角を現す。相撲界で先場所、一気にその名を全国に知らしめたのが普天王だった。
2日目の魁皇戦、大関初挑戦にも全く動じず、左差し右上手の形で電車道。魁皇のお株を奪う怒涛の寄りで手にした自信は、大関・千代大海もあっさりと飲み込んだ。更に無敵の横綱・朝青龍への初挑戦。実は文徳高3年生だった平成10年のインターハイで、普天王は明徳義塾高2年生だった朝青龍を押し出しで破っている。その後、普天王は日大に進学、朝青龍はすぐにプロの道に進んだため、横綱にとっては7年越しの借りを返す機会の到来となった。当時80kgしかなかったという朝青龍は、今や筋骨隆々の140kgを超える体に成長。すでに立場が逆転していることは誰の目にも明らかで、予想通り全く普天王に相撲を取らせず完勝した。横綱の集中力の凄さを体感した普天王は、自らの相撲に欠けていたものを悟ったのだろう。前半の6日間の上位戦での勉強が、その後に生き、残り9日間は8勝1敗の好成績。何とその8勝の中には、不戦勝が2番も含まれるという強運まで取り込み、2場所連続の三賞を獲得。9月場所は新小結として、その勢いの真価を問われることになる。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています