代名詞にもなった「レーザービーム!」の生みの親である実況アナが、72歳で勇退する。メジャー第1号からシアトルでの最後の1本までイチローの印象的なホームランを選んでもらった。(原題:[名物実況アナが振り返る]放送席から見た珠玉のイチ撃)
「グッバイ、ベースボール!」
実況が外野スタンドに入った打球に別れを告げる、ホームランを意味するフレーズだ。実はこれ、全米ではなくシアトルだけで聞かれる表現だ。
このフレーズの生みの親、リック・リズは1983年からマリナーズの選手がホームランを打ったときに必ず地元中継で「グッバイ、ベースボール!」と叫んできた。
そのリズが、72歳で迎えた今季限りでマイクを置くことになった。
41シーズンにわたって(途中の3シーズンだけデトロイト・タイガースの実況をしていた)マリナーズの6937本のホームランを、実況席から見てきた。
しかし、リズの記憶によると一度だけ、「グッバイ、ベースボール!」と言わなかったホームランがある。それは2001年4月6日、テキサスでのレンジャーズ戦で、ある新人の打席だった。
「7対7の延長10回に、イチローがメジャー初ホームランを放ったんです。あのときは劇的な雰囲気に乗って、『サヨナラ、ベースボール!』とコールしました」
レーザービームは「人生で見た中で最強といえる送球」
ただ、日本のファンにもっともよく知られているのは、その5日後に起きた出来事だろう。オークランドでのアスレチックス戦の8回、代打で出たイチローはそのまま右翼の守備に就いた。先頭のテレンス・ロングがセンター前ヒットで一塁に出て、1死後にラモン・ヘルナンデスの打球がライト前へ。この日の試合で初めてボールを触ったイチローと、三塁を狙ったロングの疾走をリズが実況し始めた。
「ライト前ヒット、ロングは三塁へ……イチローが投げる」
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