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「勝てるプランがあった」初優勝を引き寄せたベネズエラのシンプルかつ緻密な“アメリカ攻略法”「打者の苦手な球を、最も不得意とするゾーンに…」《WBC決勝レポート》

2026/03/26
準々決勝で侍ジャパンの連覇を阻んだ南米の強豪は、続く準決勝で今大会のダークホース・イタリアを撃破。史上最強メンバーのアメリカ有利と見られた決勝では粘投する投手陣に打線が応え、世界の頂点に輝いた。(原題:[WBC決勝レポート]アメリカを封じたベネズエラの計略)
 

「振れっ」

 捕手のサルバドール・ペレスは、心の中で叫んだ。

 9回2死走者なし。打席にはアメリカ代表の6番打者ロマン・アンソニーが立っていた。1ボール2ストライクからの4球目、ベネズエラ代表の6番手投手ダニエル・パレンシアは、この日最速の99.7マイル(約160.5km)を投じた。

 渾身の一球にアンソニーのバットが空を切ると、ペレスは屈み込むようにガッツポーズし、腕を高々と突き上げてマウンドにダッシュした。マウンドのパレンシアはグラブを放り投げ、チームメイトやスタッフがその輪に次々と加わった。全員、涙と笑顔の入り混じった表情だった。

 スタンドでは黄・青・赤のベネズエラカラーのユニフォームや国名の頭文字「V」の帽子をかぶったファンの頭が揺れていた。

ベストメンバーではなかったベネズエラ

 悲願の初優勝を果たしたベネズエラ。だが、大会前の下馬評は決して高くなかった。

 アメリカやドミニカ共和国、さらには連覇を狙う日本と比べても、戦力的には一歩劣る。そんな見方が大勢を占めていた。アストロズのスター選手ホセ・アルトゥーべ、ドジャースのミゲル・ロハスなど保険の問題から出場できない選手もおり、必ずしもベストメンバーではなかった。

 実際、準決勝に進出した4チームの中でも、打撃面の数字は決して際立ってはいない。打撃成績トップのドミニカ共和国が準決勝までに15本塁打、52得点、チームOPS1.025と圧倒的な破壊力を示したのに対し、ベネズエラは決勝まで含めても10本塁打、41得点、OPS.775。これはドミニカ共和国にはもちろん、イタリアにも及ばない数字だった。

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photograph by Nanae Suzuki

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