#1128
巻頭特集

記事を
ブックマークする

「弱い相手に防衛を繰り返して何になる?」堤聖也が語る“アメカジの美学”と4団体統一の野望「自分が本物という自負はある」《独占インタビュー》

2025/09/28
その戦いぶりはいつも見るものの胸を打つ。強豪日本人選手がひしめくバンタム級戦線で、激戦を繰り返しながら主役に躍り出た29歳。自称アメカジボクサーがその美学と野望を語った。(原題:[95年組の激闘王]堤聖也「本物の強さを持つ王者でありたい」)

 ボクサーが人生を学ぶ場所がいつもリングの上とは限らない。堤聖也にとってのそれは、ワークウェアやミリタリーウェアのヴィンテージ品がうずたかく積まれた世界の中にあった。

 地元熊本の健軍町に今もある古着屋『SMOKY』。友達と一緒におそるおそる足を踏み入れたのは高校3年生のときだ。

「まあ怖かったっすね。めっちゃ怖かった(笑)。当時は高校生なんて俺とその友達ぐらいだったんじゃないかな。店に行くとなんかしらで2、3時間怒られて、でもまた行く。そこで人生のスタイル、価値観を教えてもらった感じでした」

 オーナーの濱崎正智にはヴィンテージの知識や歴史を教わっただけではない。それ以上に言われたのは、人との繋がりや縁を大事にすること。そして、いい服を着るためのこんな心構えだった。

「お前自身がカッコよくないと、どんなにいいもので着飾ってもカッコ悪いままだ。服に着られるな。お前が服をまとえ」

 アメカジの魅力を知り、ワークウェアの歴史を掘り下げるうちに、堤は「これこそが本物じゃん」と考えるようになっていく。自称アメカジボクサーの出発点だった。

 高校卒業後に上京すると、濱崎に紹介された東京・小岩の古着屋『ジョニー』にも通い始めた。

 昨年10月、井上拓真に挑んだ初の世界戦の会見で着ていたルイスレザーズの赤いジャケット「サイクロン」は同店で購入したもの。学生時代から試合の応援に来てくれているオーナーの秩父広一郎が、堤のために入荷してくれたものだ。

全ての写真を見る -2枚-
特製トートバッグ付き!

「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Yudai Emmei

0

0

0

この連載の記事を読む

もっと見る
関連
記事