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《日本馬初のダート世界一達成》フォーエバーヤングを完璧な状態にした矢作厩舎の“妥協を許さぬ”チームの姿勢とは「首を振ってルンルンルンって歩く感じでした」

2025/11/23
11月2日、日本時間の早朝に吉報が届いた。国内の砂の王者が昨年3着のリベンジを果たし、日本馬として初めてダート世界一決定戦を制した。事前調整が順調でも決して気を緩めることなく、細部までこだわりぬき、切り札投入へと至った矢作厩舎の勝負に対する熱き思いに迫る。(原題:[歴史的快挙の裏側]フォーエバーヤング「妥協を許さぬチームの姿勢」)

 カリフォルニアの空にフラワーシャワーが舞った。ブリーダーズカップ勝者だけが許される一幕。

「ついに獲った! アメリカの頂点を!」

 矢作芳人調教師は力強く快哉を叫んだ。

 矢作率いるチームが日本馬で初めてブリーダーズC諸競走を勝ったのは今から4年前のこと。2021年にブリーダーズCフィリー&メアターフをラヴズオンリーユーで制すると、返す刀で同年のディスタフをマルシュロレーヌで制覇した。

 そして今年、更なる偉業を成し遂げた。ブリーダーズCの中でも多くの人が憧れ、最高峰と言われるクラシックをフォーエバーヤングで勝ったのだ。

 同馬の父はリアルスティール。JRAの調教師として最多の海外17勝を挙げる矢作が、海外GI初制覇を果たした馬だ。今回のブリーダーズC制覇において、同馬の存在は重要なピースを担うこととなる。

レースを終えて健闘を称えあう坂井(左)と矢作(右) Photostud
レースを終えて健闘を称えあう坂井(左)と矢作(右) Photostud

 旅のはじまりは10月22日。9月上旬に休養先の牧場から帰厩し、順調に調整されていたフォーエバーヤングは国内で日本テレビ盃を完勝すると、いざアメリカに渡った。競走馬は繊細な生き物であるが、「あまりにも順調すぎて怖い」と矢作が口にするほど、すべてが上手く運んでいた。

「体の左右差がなくなっている」

 それはアメリカ到着後の調教もそうだった。追い切りに騎乗した坂井瑠星騎手はこう言い放った。

「100点満点です」

 のちに「初めて口にした言葉かも」と本人が振り返るほどの仕上がりだった。さらに翌日、フォーエバーヤングに跨った調教助手の荒木裕樹彦は驚いた。

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photograph by Photostud

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