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「主導権を握り、魅了して勝つ」鹿島を常勝軍団へと復活させた鬼木達が明かす“姿勢で導き、姿勢で示す”リーダーシップの真髄とは「まず自分に矢印を向ける。自分が変わる」
シーズン終盤の10月、かつて同じユニフォームを着て戦った名良橋晃が、練習を眺めながらこぼした。
「名将の雰囲気が出ていますよね」
鬼木達は1993年に鹿島でプロとしての第一歩を踏み出した。素直で愛くるしい人柄が、本田泰人ら先輩に可愛がられた。当時のイメージとはまた違った凄みをまとった姿に、名良橋は唸った。
2025年。川崎Fで監督として7個の国内三大タイトルを獲得した鬼木が、26年ぶりに鹿島へ帰ってきた。
「新しいチームで監督をやるにあたり、自分自身は何を求めるのか。そう考えたときに、オファーをもらってから浩二(中田浩二フットボールダイレクター)とかなり話をしました。そこで感じたのはやっぱり熱量ですよね。本気で勝ちたいクラブなんだなと。自分自身が誰よりも勝利を求めている人間なので、目指すところが合致した。本当に必要とされていると強く感じました」
鬼木は鹿島からのオファーをそう受け止めた。中田との話し合いで伝えた一つに、外から見た鹿島への印象があった。それはチームに漂う義務感だった。
「鹿島は常勝軍団と呼ばれることで、選手たちが語る『勝たなきゃいけないチーム』という言葉が、どこか言わされている言葉に聞こえていました。勝たなきゃではなく、自分たちが誰よりも本気で勝ちたいに変えなきゃいけない。だからまず、自分の本気の姿勢が大事だと考えました」
「自分たちが楽しみ、見てもらう人にも楽しんでもらう」
言葉よりも、行動で。最初に変えたのは戦術でもシステムでもない。勝ちたいという本能を呼び起こす空気作りからだった。
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