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「フットボールって、大衆の、労働者たちのスポーツ」“持たざる側”の湘南、京都で曺貴裁はいかにして「毎日×毎日」の努力を実らせたのか「僕自身、嘘くさいことが嫌い」
寡兵よく大軍を破る。
曺貴裁という指導者の手がけるチームにはいつも、そんなロマンが漂う。1%の強者ではなく、彼らを倒す99%の側にある。
「子供の頃から強い者に立ち向かっていく気持ちが強かったかもしれない」
事実、約8シーズンに渡って指揮を執った湘南ベルマーレの立ち位置も“持たざる側”にあった。無論、今季で5シーズン目を迎えた京都サンガF.C.も例外ではない。J1リーグの優勝はおろか、1ケタ順位で終えたシーズンも1度しかない。そんなクラブが今季、優勝争いを演じたのだ。
今季最大のサプライズと言ってもいい。何しろ、昨季の前半戦では降格圏に沈み、残留が危ぶまれたほどだ。第15節のサンフレッチェ広島戦で0-5と大敗した直後、このまま監督を続けることが本当に正しいのか、自らに問いかけたという。
「事態を好転させるためにトライしたことが裏目に出て……。自分は何か見当違いをしている、と思いましたね」
だが、ドローで終えた次節の名古屋グランパス戦で好転の兆しが見えると、第18節の北海道コンサドーレ札幌戦で実に8試合ぶりの白星。これで息を吹き返すと、後半戦では上から3番目の勝ち点を積み上げ、見事残留にこぎ着けた。
「いま思えば、あの大敗は必要なプロセスだったのかなと。あれだけの敗北を味わったことで、自分たちはどこへ向かうのか、その覚悟が決まったように思います」
もしも惜敗の連続だったら、偶然や運のなさを嘆くばかりで、事態が大きく改善されずに終わったかもしれない。監督人生で初めてとも言える苦境に立たされ、学んだことも少なくなかった。
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