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【阪神タイガース】「球団の評価はやっぱり佐藤だ、と」佐藤輝明、伊藤将司、村上頌樹、中野拓夢、高寺望夢、石井大智…2020年“神ドラフト”はいかに実現したのか《矢野燿大が秘話を明かす》

2025/10/23
史上最速でリーグ優勝を果たした今季。その中心でひときわ輝きを放ったのは、今から5年前、コロナ禍のドラフト会議でプロ入りを決めた最強の同期たちだった。圧巻の指名を実現させた当時の指揮官が“奇跡の1日”の舞台裏を振り返る。(原題:[矢野燿大が明かす]2020年“神ドラフト”の全内幕 佐藤輝明/伊藤将司/村上頌樹/中野拓夢/高寺望夢/石井大智)

 ドラフトの成否は、何年後かに分かる。ならばタイガースの2020年がいかに“神ドラフト”だったかを、今シーズンの圧倒的なリーグ制覇が裏付けている。

 佐藤輝明が阪神の日本人選手では金本知憲以来となる40号を放って本塁打王となれば、村上頌樹は最多勝、最高勝率、最多奪三振の投手3冠を達成。石井大智は50試合連続無失点の日本記録を継続中であり、中野拓夢は入団から5年連続の100安打をクリアし、リーグ断トツの44犠打をマークしている。

 編成、スカウト部隊とともに'20年を“神ドラフト”としたのが、監督だった矢野燿大である。4球団が競合した1位のサトテルをクジで引き当て、ケガを抱えていた村上を5位、獲得リストから一度外していた中野を6位、さらには最後の最後で石井を8位で指名した。

 あれから5年が経ち、チームをけん引する彼らの活躍に目を細める矢野がいる。コロナ禍の難しいあの年に、なぜ神を舞い降ろすことができたのか――。

矢野燿大 Hideki Sugiyama
矢野燿大 Hideki Sugiyama

「クジを当てたときはホッとしましたね」

 '20年10月26日、東京・グランドプリンスホテル新高輪。

 1位を近畿大の佐藤で行くことは球団の総意で事前に決まっていた。関西学生リーグ通算14本塁打の新記録を打ち立てた左のスラッガーに対してはオリックス、ソフトバンクが1位指名を公表し、巨人も前日に指名の意思を表明している。

「この年は早川(隆久)をはじめ(注目される選手が)たくさんいたなかで、球団の評価はやっぱり佐藤だ、と。これだけのパワーを持っている選手が地元から出てくるというので、僕としても『それはそうですよね。分かりました』と。だからクジを当てたときはホッとしましたね」

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photograph by SANKEI SHIMBUN

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