「令和の怪物」がメジャーに戻って来た。本来の快速球に、たくましさを携えて。ドジャース佐々木朗希は9月24日、救援として復帰し、1回無安打無失点2奪三振の快投を演じた。右肩のインピンジメント症候群で離脱して以来の約4カ月ぶりのマウンドで、最速161kmを計測し、敵地のスタンドをどよめかせた。
「肩の状態が万全になったのと、フォームを修正して、自分の今の体で球速が出せる体の使い方を見つけることができたので、そこが要因かなと思います」
本来の役割でなくとも、佐々木はチームのため、そして自らの将来のためにも、救援として復帰することを選択した。8月中旬以降、3Aオクラホマシティーでの実戦では5試合に先発した。ところが、ドジャースは山本由伸らに加え、大谷翔平も完全復活を遂げ、メジャー屈指の先発投手陣が揃ったことで、たとえ佐々木が本調子を取り戻しても、入る余地はない状態となっていた。その一方で、救援陣は左腕タナー・スコット、ブレーク・トライネンらのベテラン勢が不調続きで、ポストシーズン(PS)を前に最大の不安材料となっていた。そこで白羽の矢を立てられたのが佐々木だった。
佐々木自身も、諸事情を理解した上で、不慣れな役割に挑む覚悟を決めた。マイナーの救援2試合ではいずれも無失点と無事にテスト登板を終え、公式戦最後の1週間でチームに合流した。2度目の救援となった26日のマリナーズ戦では、今季60本塁打でタイトルを取ったカル・ローリーをスプリットで3球三振に仕留め、デーブ・ロバーツ監督をうならせた。
「今の彼は日本で投げていた頃のような投球を取り戻している。別人のようにすべてが格段によくなった」
無論、あくまでも救援は臨時措置であり、来季以降、先発で起用する方針に変わりはない。ただ、緊迫したPSで最高出力を上げる経験が、佐々木の闘争本能を刺激し、プラスに働く可能性は高い。
「強くなった感じよりも、以前のように痛みなく、自分のやりたい動きが少しずつできるようになってきたと思います」
人並み外れた潜在能力を持つ佐々木が来季以降、ドジャースの柱となれば、今季の足取りも、決して遠回りではない。
この連載の記事を読む
記事


