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「『審判を尊重』と選手が監督に指摘」「相手のプレーを称えてハイタッチ」高校野球の常識を打破する「リーガ・アグレシーバ」の挑戦《沖縄尚学、慶應義塾、掛川西も参加》

2025/08/31
8/10実施予定の掛川西-桐陽戦は雨天中止となったが、ミーティングのため両チームが集まる
高校野球は基本的にトーナメント戦で、負けると次がない。それが数々のドラマを生んできた一因ではあるが、選手や指導者の成長に最適なのか――。その問いへの解決策を導くべく10年前に発足したリーグ戦。特徴的なレギュレーションなど新たな取り組みによって、なにが変化したのかを追った。(原題:[一戦必勝だけじゃない価値観]リーガ・アグレシーバがもたらしたもの)

 高校野球イコール一戦必勝のトーナメント戦――。その概念に疑問を持ち、選手と指導者がより成長することにフォーカスした試みが10年前に始まった。

 2015年に大阪府の6校からスタートしたリーグ戦「LIGA Agresiva(以下、LIGA)」は出来る限り多くの選手を試合に出すことやゲーム終了後の両チームでのミーティングを推奨するといった革新的なレギュレーションによって高校野球関係者の間で話題を呼んでいる。参加校は現在36都道府県191校まで増え、慶應義塾や沖縄尚学といった甲子園常連校も名を連ねる。その始まりは強い危機感だった。LIGAを立ち上げた阪長友仁氏が明かす。

「10年後の日本野球界は色んな問題が表面化するのではないかと感じました。今のうちにできることを進めていかないとまずいんじゃないかと」

 新潟明訓高校で夏の甲子園に出場した阪長氏は、立教大学でも野球を続けた。大学卒業後は大手旅行会社に就職したが、野球を広める活動を志して退職し海外へ渡った。様々な国で野球に携わる中、最終的にたどり着いたのはドミニカ共和国だった。

 ドミニカ共和国では投手の将来を見据えて球数を制限し、変化球も多投させない指導が浸透していた。バットの芯で捉える技術や感覚をジュニア世代で身に付けるため、選手は木製バットを使う。日本の野球が“常識”だと思っていた阪長氏にとっては驚きの連続だった。その中でも、最も衝撃を受けたのは指導者と選手の関係性だった。

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photograph by Nanae Suzuki

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