記事を
ブックマークする
「北広島という自治体名を変えられませんか?」エスコンフィールドで見た“北海道野球のルーツ”と新井貴浩の謝罪「自分のミスです」《広島カープ連載「鼓動」第5回》
プレーボールを間近に控えたスタジアムに、広島東洋カープのスターティングメンバーを発表するアナウンスが流れていた。
「1番センター、大盛――」
北海道の野球ファンには耳慣れない名前だったかもしれない。いや、鯉党ですら「お」と、ひと言発せざるを得ないような起用であった。6月13日、日本ハムファイターズの本拠地エスコンフィールドに乗り込んだ新井貴浩はメンバー表の一番頭に「大盛穂」の名前を書き込んだ。おおもり・みのる。豊かに実った稲穂を連想させる外野手はこれまでゲーム途中の一場面で登場するのが主な役割だったが、5日前に代走で途中出場し、今シーズン初ホームランを放り込むと、前日にはスタメン出場してタイムリーヒットを放っていた。じわじわと存在感を示し始めた28歳を首脳陣はトップバッターに抜擢し、一軍に上がってきたばかりのベテラン田中広輔と1、2番コンビを組ませたのだ。
森下暢仁と伊藤大海という両軍の大黒柱同士の投げ合いで始まった金曜日のナイトゲームはカープが先手を取って、そのまま終盤を迎えていた。7回表、ツーアウトランナーなしで打席に立ったのは大盛であった。中盤の3失点から少しずつ立ち直りの兆しを見せていたファイターズのエース伊藤が、無印の伏兵をねじ伏せるかのようにストレートを投げ込む。大盛の細い腕がバットをしならせ、それを捉える。打球はセンター左へ上がった。外野の頭を越されたか、そんな顔で打球を振り返った伊藤は白球がスタンドに飛び込んだのを見て、唖然としていた。俊足と強肩が売りだった男の、バットでの大仕事に、チームメイトたちですら顔を見合わせていた。
プラン紹介
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
この連載の記事を読む
記事


