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《独占インタビュー》「僕は誰にも似ていない」大の里が語る"理想の横綱像”と「左手は添えるだけ」の極意とは?

2025/07/02
二所ノ関部屋の門を叩いて2年。幾度もの壁を越えた大器は、恐るべき勢いで番付の頂点へと上り詰めた。力と技、そして速さを兼ね備えた192cmの巨躯で唯一無二の道を行く第75代横綱が、大いに語った。(原題:[独占インタビュー]大の里「僕は誰にも似ていない」)

 5月23日、両国国技館。

 前日まで12戦全勝と勝ちっぱなしだった大の里が琴櫻を寄り切ると、この瞬間、2場所連続優勝が決まり、横綱昇進が確実となった。

 溜まり、桟敷、椅子席を問わず観客から嵐のような歓声が湧きあがったが、国技館であれだけの歓声を聞いたことは、いまだかつてなかった。

 第75代横綱、大の里泰輝。

 横綱昇進までの所要13場所は、これまで輪島が持っていた21場所の記録を大きく塗り替え、日本出身の横綱は、稀勢の里――現在の師匠である二所ノ関親方――以来、実に8年ぶりの誕生となった。伝達式の口上では大関昇進の時と同じ四字熟語が使われた。

「横綱の地位を汚さぬよう稽古に精進し、唯一無二の横綱を目指します」

 まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで出世の階段を上がったが、万事が順調ではなく、停滞局面はあったと振り返る。昨年の九州場所で大関に昇進してからのことだ。

「九州場所で9勝、初場所でも10勝止まりと、少し苦戦した場所が続きました。新大関の場所では巡業中に体調不良があり、自分なりには準備したつもりでも、思ったようにコンディションを整えられませんでした。いまだから言えますが、あの時は勝ち越した瞬間にホッとしました。これでカド番にならなくて済むと。大関は負け越しが続くと陥落する可能性がありますから」

 年が改まって、初場所も10勝。入門以来、一気に番付を駆け上がってきた勢いが削がれていた。そんなとき、師匠から厳しい言葉をかけられたという。

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photograph by Kosuke Mae

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