今年は、春が遅かった。
2025年3月19日、「関東へら鮒釣研究会」、通称・関べらの第3回目の例会が行われた。千葉県富津市にある戸面原ダムでは、朝から降り始めた雨が雹になり、時折、雪へと変わった。早朝に5℃だった気温は北風が吹き始めてさらに下がり、表面水温も10℃を切った。取材のために少しボートに座っているだけで底冷えがしてくる。
空が白み始めた朝6時に号令がかかり、一斉に出舟していく。それぞれが狙ったポイントに入るための、ボートの手漕ぎ競争が始まる。会長を務める西田一知は、若手の頃には本気で漕ぎすぎて酸欠になり「何度もポイントで吐きましたよ」と笑った。80歳を超える会員たちも含めて参加者43名がオールをバチバチとぶつけながら漕ぎ出すさまは圧巻で、それだけ勝負に本気であることが伝わってくる。
関べらは年11回の例会を行い、年間の総重量を競っている。今回の戸面原ダムなど房総半島から、西湖・精進湖といった富士五湖まで、さまざまな釣り場で開催される。
各自が選んだポイントに落ち着き、ある程度の釣果が出始めるまで、ボートハウスで石油ストーブに当たりながら前会長の石井旭舟に話を聞いた。関べらの最盛期に三連覇を達成した旭舟は「関べらで優勝したら、人生が変わるぐらいにすごいことだったんだから」と懐古する。

「昔は地元にいっぱい小さな例会があったんだ。そこで勝ちすぎると嫌われるだろう? そういう人たちが関べらに来たんです。だから上手いヤツばっかりなんだ。優勝したら、いろんなメーカーから声がかかって食っていける。俺もそうだったんだから。電話一本で1000万稼いでたからね」
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