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「あれくらいじゃカネさんは痛いとは…」林威助が阪神タイガースで“夢”を追った日々と鉄人の背中「あのボールが100万円やったらどうする？」【台湾を訪ねて】
4月最初の週末とあって街は人で溢れかえっていた。老いも若きも夜市をそぞろ歩く。台湾を訪れるのは何度目だろうか。彼に会うためとはいえ、あの嘉義まで来ることになるとは……。ご当地グルメだという雞肉飯を手に、そんなことを考えながら、人波に身を委ねていた。
やがて円形の交差点に出ると、すぐにその真ん中に鎮座する銅像に目を奪われた。右足を蹴り上げたピッチャーを象った像は金色に塗られていた。それは足元のライトに照らされ、闇夜に浮かび上がっていた。
銅像のモデルは呉明捷という。
1931年、夏の甲子園の前身の全国中等学校優勝野球大会に台湾代表として初出場して準優勝した嘉義農林学校（嘉農）のエースである。彼らに材をとった映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』が製作された2014年以降、台湾中部の地方都市にすぎない嘉義は日本でも広く知られるようになった。
嘉農は一度も勝ったことがない弱小チームだった。日本人の近藤兵太郎監督が野球を教え、「甲子園」という目標を示した。パワーのある台湾人や原住民族を打線の上位に並べ、守備が上手な日本人を下位へ。日本統治時代の台湾で一丸となって戦う姿はラジオ中継され、この街に熱狂を生んだ。
「シャチョー！ 元気？ よく来たね！」
94年前、嘉農ナインが練習していたグラウンドは嘉義市立棒球場と名前を変えて、いまも現役である。街の東にある緑に包まれたフィールドにその人はいた。
「シャチョー！ 元気？ よく来たね！」
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※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
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