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【移籍スクープ連発】ファブリツィオ・ロマーノが語った“3つの武器”「何よりも現場で試合を見たいから」《ファンが待つ「Here we go!」の裏側とは?》
ミラノのミッソーリ広場近くのホテルでジャーナリストのファブリツィオ・ロマーノに会った。
近年サッカー界の移籍スクープを連発し、彼の「Here we go!」のフレーズを待ち望むファンは多い。SNSの総フォロワー数は1億人近く。移籍情報に関してはスポーツ紙やTVなど従来のレガシーメディアよりもロマーノの発言の方が重んじられるほどの存在だ。
イタリアでいえば最大のスポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』やTV局『スカイ・スポーツ』にもかつては移籍専門といわれる存在がいたが、ここ数年でロマーノが情報の量と質で一気に抜き去り第一人者の地位を確立している。
渦中の選手よりも情報を掴んでいるとさえ言われる。なぜそこまで食い込めるのか――。彼と話をして浮かんできたのが絶対現場主義という揺るがないポリシーだ。
ロマーノはフリーランスなので、試合を見に行く際の旅費などは基本的に自費だという。前述の新聞記者やTVレポーターなどは、会社の経費で現場に送り込まれるが、自らの判断で好きな場所へ行けるわけではない。一方でロマーノは自由に試合に駆けつける。
「何よりも現場で試合を見たいという気持ちがある。そしてそこに行けば、たくさんの人に直接会うことができる」
狙いは試合だけでなくピッチの外にもある。まずはスタジアム近辺にあるサッカー関係者が泊まるホテルの情報を集める。代理人やクラブ幹部、選手の家族、スポンサー関係者などが集うその場はさながらサッカー界の社交場だ。試合開始の数時間前にロビーに身を置き、出入りする人々と話しては関係を築いていく。スクープの大半はそこからやってくるという。
世界中を動いているから、彼と会うのも一苦労だ。居住地はミラノだが、前日はマドリード、翌日はマンチェスターと旅し続けている。昨年はメッシのインタビューのためにマイアミにも駆けつけた。そうして足で稼いだ情報をSNSの拡散力を活かして広める。話者の総数に限界のある母語のイタリア語ではなく世界共通言語である英語を用いたのもポイントだった。
現場と英語とSNS。3つの武器で、ロマーノは移籍報道の頂点に立ちつづけている。