これまで幾度となく決めてきたゴールのリプレイが流れるかのように、名和田我空は練習のハーフコートゲームで別格の存在感を放っていた。吸いつくようなトラップから素早く前方にターンすると、難しい角度でも構うことなく右足を振り抜く。ボールの芯を叩いた「ドン」という音が寒空に響き、ゴールネットが揺れた。
高1の全国高校サッカー選手権では、持ち前のテクニックで観客の度肝を抜いた。高2の時にはU-17日本代表としてアジアを制し、スペインを相手にゴールも奪った。だが、高3でキャプテンを務めたこの1年間は、これまでにない悔しさを味わった。インターハイで創部初となる決勝進出を果たすも、準優勝。高校最後の選手権は、県大会決勝で涙を呑んだ。
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photograph by Yoshikazu Shiraki