“三笘の1ミリ”から遡ること8年――。
“三笘の1700ミリ”伝説は、川崎市立橘高校の校庭で生まれた。
当時、同校に赴任したばかりの体育教諭・山本義弘さんは、2年生の授業で走り高跳びを指導していた。数回の練習を経て、さっそく生徒たちの記録を測ることにした。そこで、ある少年の跳躍に目を見張った。
「高校2年生の平均記録は130~140cmくらい。ところが薫は、いきなり170cmを跳んだんです。びっくりしましたよ。しかも陸上用のスパイクではなく、ごく普通の運動靴を履いての跳躍ですからね。背面跳びのフォームがすごく綺麗で、体のバネが素晴らしかった。たまたま見ていた陸上部の顧問が、『陸上を専門でやってるみたいだね』って驚いていましたから」
山本さんは興奮気味に声をかけたが、三笘薫本人のリアクションは素っ気なかった。
「薫はシャイなところがある。自分の能力を周りにアピールするようなことはしません。謙虚で、非の打ちどころがないんですよ。だから学校で会ったときは、冗談でこう言ってました。『お前はカッコイイし、スタイルもいいし、勉強もできてサッカーもうまいから嫌いだ』って(笑)」
三笘はクラスメイトたちによる推薦で『ミスター橘高校コンテスト』にノミネートされたことがある。それだけルックスが良くて、運動神経抜群で、クールな性格。この逸話だけを聞いたら、まるで漫画『SLAM DUNK』に登場する流川楓みたいだ。
ところが“三笘薫=流川楓”説は、あっさり否定されてしまった。高校時代の同級生であり、現在は同校で教諭を務める荒木優花さんは、その素顔をこう明かす。
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