#1111
巻頭特集

記事を
ブックマークする

「ヤバい!」「世界初1番投手初球弾」ファイターズ・大谷翔平、“衝撃の二刀流”2016.7.3ソフトバンク戦とは何だったのか?《証言:中田賢一、内川聖一、大野奨太》

2024/12/30
13時のプレイボールから、わずか5秒後の出来事だった。先発ピッチャーによる、初回初球先頭打者ホームラン。投げては8回5安打無失点。世界を見渡しても前例のない“独壇場”を、この試合に出場した両軍の選手たちが回想する。(原題:[ソフトバンクvs.日本ハム]2016.7.3「1番・投手の衝撃」)

 野球の常識を変えてしまった大谷翔平の軌跡を振り返ると、マンガを現実化したような嘘みたいなゲームがいくつかある。

 中でも本格的に「リアル二刀流」に乗り出し、投手とDHの2部門でベストナインを受賞した2016年シーズンには、これぞ大谷という究極のゲームがある。7月3日の福岡ソフトバンクホークス戦だ。

 リーグ3連覇を狙うホークスは早くも独走態勢に入り、後続に大差をつけていた。だが、7連勝で福岡に乗り込んできた3位北海道日本ハムファイターズに2連敗。3タテ阻止がかかるこの日、ヤフオクドームはいつになくざわめいていた。場内アナウンスが、予告先発する大谷の名を1番に告げたからだ。

 そしてプレイボール直後、ざわめきはどよめきに変わる。大谷が初球を強振すると、ボールは右中間スタンドに飛び込んだ。先発投手による先頭打者、初球ホームランはプロ野球史上初の出来事である。

 打者・大谷が先制アーチを放てば、22回無失点を継続する投手・大谷は8回を被安打5の無失点に抑える。試合は2-0でファイターズの勝利に終わり、翌日のスポーツ紙は大谷の話題で埋め尽くされた。

《まるでマンガの世界》

《世界初1番投手初球弾》

《30イニング0封!! 10K8勝》

中田賢一 Chihiro Kihara
中田賢一 Chihiro Kihara

 二刀流がこれ以上ない形で結実した一戦、初球ホームランを打たれたのは中田賢一だった。現在、古巣ホークスで一軍投手コーチを務める彼は、試合前にブルペンに入っていきなり驚いたという。

「壁に貼られたオーダーに、1番大谷と書かれていたのでびっくりしました。いつもは3、5、6番あたりが多かったですから」

全ての写真を見る -4枚-
特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by NIKKAN SPORTS

0

0

0

前記事 次記事