#1108
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「三浦の心には重しがある」ベイスターズ“日本一”の裏で、牧秀悟が語ったこと、三浦大輔が語らなかったこと…王貞治「1試合ごとに横浜は強くなった」
2024/11/08
1998年の歓喜も低迷時代も知る就任4年目の指揮官と、大役に試行錯誤しながら重責をまっとうした主将。史上最大の下克上は、いかに完結したのか。(原題:[優勝ドキュメント]三浦大輔&牧秀悟「勝利に対する執着心」)
横浜の星空に26年ぶりの勝ち鬨がこだました。日本シリーズ第6戦。DeNAのクローザー、森原康平が渾身のフォークで柳田悠岐のバットに空を切らせると、三浦大輔監督は万感の表情で両腕を突き上げた。コーチ陣と抱き合うと、とめどなく涙があふれる。ナインの手で5度、宙を舞う。1998年以来の日本一を掴み、普段はクールを装う指揮官も思わず声を上ずらせた。
「いろんな思いがね……'98年に優勝してから、その後なかなか勝てずにもう一度という気持ちでしたが、現役の時は優勝できず、監督として優勝できて本当にうれしい」
三浦とともに優勝ペナントを持って横浜スタジアムを一周した牧秀悟も言う。
「何が正解で、何が不正解かまったくわからないまま、(主将を)1年、やらせていただいた。自分の勉強不足、力不足はありましたがクライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズとチーム全員で勝ち切れて、いいものを得られました」
主将でありながら、主力の重責を果たした。日本一を目前まで引き寄せたのは牧のひと振りだ。2勝2敗で迎えた第5戦。1-0の4回無死一、二塁。前田純の内角高め速球をとらえ、左翼席に運んだ。それまで打率1割台と低調だったが、強烈なダメージを与える3ランは大仕事になった。
そして迎えた11月3日。大一番を前にして三浦は選手たちに伝えた。
「いつも通り、今日、自分ができることを精いっぱいやっていこう。自分たちが持っているものを出し切ろう」
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photograph by Hideki Sugiyama