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<ヴィクトワールピサ>「日本がこんな苦しい時に、やっぱり神様はいるんだな」ミルコ・デムーロは“日本人の心”を持って【神騎乗列伝:2011年ドバイWC】
2011年3月11日、東日本大震災が発生したとき、ミルコ・デムーロは母国のイタリアにいた。当時、短期免許での来日を繰り返していた彼は、その年、1月の最終週から2月末まで日本で乗っていたが、騎乗契約があったため帰国したのだ。
「弟のクリスチャン(・デムーロ)が震災の1週間ぐらい前まで短期免許で船橋にいたんです。そして、イタリアの競馬を見たいという川島正太郎騎手と一緒に帰ってきました。震災はテレビのニュースで知りました。『津波』という言葉もそのときまで知らなくて、映像を見てショックを受けました。正太郎君も僕も心配して、日本の知り合いに電話をかけたりしました」
そう話すデムーロがヴィクトワールピサで臨むドバイワールドカップは3月26日。
筆者は22日の早朝、ドバイに入った。前日の夜、成田空港に向かうリムジンバスから見た東京の夜景が、原発事故の影響による節電のため、暗く沈んでいた。同じように暗く沈んだ気持ちが、メイダン競馬場の光景を見て少しほぐれた。日本の調教スタッフが、「3.11」の日付と「HOPE」という文字がプリントされたポロシャツを着て、ヘルメットに同じデザインのシールを貼って馬に乗っていたのだ。筆者もそのシールをプレスパスに貼り、追い切りの共同会見を取材した。その会見で、欧米のプレスに「日本で何年乗っているのか」と聞かれたデムーロは、間髪容れず「13年」と答えた。指折り数えるのではなく即答した彼が、日本を心から「第二の故郷」と思ってくれていることが伝わってきて、日本人として嬉しかったと同時に心強く感じた。
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