日本球界へ戻ることを決めた2014年12月4日、翌日に予定されていたホークスへの入団会見のために福岡へ向かう途中、松坂大輔は神戸に立ち寄った。イチローに日本復帰の報告をするためだった。そのとき、松坂はイチローに対して「いつかもう一度、対戦したい」と誓っている。
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僕がイチローさんのことを想うのは当たり前です。大事なのは想われるかどうかですから、そこは僕には推し量ることはできません。ただ、前へ進む気持ちがずっと途切れなかったのは、常に前へ進んでいくイチローさんを見てきたからだと思います。僕が日本へ戻ることを伝えたら、イチローさんは自分もどうなるかわからない、もしかしたら日本へ戻るかもしれないし、大輔がアメリカへ戻ってくるかもしれない、と言ってくれました。あのときにイチローさんが掛けてくれた「オレたちには続きがあるぞ」という言葉は本当にありがたかった……イチローさんも僕のことを見てくれているんだと、ものすごく励みになりました。
「もう一度先発で勝負したい」強い気持ち。
もちろん、そのときの僕はホークスに骨を埋める覚悟でいました。お世話になるからには福岡で野球人生を全うしようと思うのは当然です。日本へ戻ることを決めた一番の理由は先発をやりたいからでした。その前のメッツでのシーズン、中継ぎをしながら、突然、先発したりして、自分の役割がどちらかわからなかった……そんな状況を作ってしまったのは自分ですが、肩に不安がある中、ブルペンでの準備の難しさはいつも感じていました。投げ過ぎてもダメだし、次に行ってくれと言われてすぐに肩を作ってパッと行くのも難しい。タイプ的に中継ぎの難しさを痛感していたんです。
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